• "技能検定合格者"(/)
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  1. 山形県議会 2013-06-01
    06月20日-03号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    平成25年  6月 定例会(第362号)  平成二十五年六月二十日(木曜日)午前十時零分 開議議事日程第三号 平成二十五年六月二十日(木曜日)午前十時開議第一   議第八十四号 平成二十五年度山形県一般会計補正予算(第一号)第二   議第八十五号 平成二十五年度山形県電気事業会計補正予算(第一号)第三   議第八十六号 平成二十五年度山形県病院事業会計補正予算(第一号)第四   議第八十七号 山形県職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定について第五   議第八十八号 山形県職員等の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例の制定について第六   議第八十九号 山形県県税条例の一部を改正する条例の制定について第七   議第九十号 山形県過疎地域自立促進税課税免除条例の一部を改正する条例の制定について第八   議第九十一号 山形県議会議員及び山形県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する条例の一部を改正する条例の制定について第九   議第九十二号 山形県動物の保護及び管理に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十   議第九十三号 子育てするなら山形県推進協議会条例の設定について第十一  議第九十四号 山形県県営住宅条例の一部を改正する条例の制定について第十二  議第九十五号 山形県県立学校設置条例の一部を改正する条例の制定について第十三  議第九十六号 山形県警察職員定数条例の一部を改正する条例の制定について第十四  議第九十七号 飛島漁港南防波堤災害復旧(改良)工事請負契約の一部変更について第十五  議第九十八号 除雪機械の取得について第十六  議第九十九号 除雪機械の取得について第十七  議第百号 除雪機械の取得について第十八  議第百一号 公立大学法人山形県立米沢女子短期大学定款の一部変更について第十九  議第百二号 平成二十四年度山形県一般会計補正予算(第九号)の専決処分の承認について第二十  議第百三号 平成二十四年度山形県公債管理特別会計補正予算(第二号)の専決処分の承認について第二十一 議第百四号 山形県県税条例の一部を改正する条例の制定についての専決処分の承認について第二十二 議第百五号 山形県公安委員会委員の任命について第二十三 議第百六号 山形県人事委員会委員の選任について第二十四 議第百七号 特別職の職員に対する退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について第二十五 県政一般に関する質問第二十六 請願本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(四十三名)    一番 山科朝則議員    二番 草島進一議員    三番 金子敏明議員    四番 菊池文昭議員    五番 石黒 覚議員    六番 矢吹栄修議員    七番 小松伸也議員    八番 佐藤 昇議員    九番 島津良平議員    十番 渡辺ゆり子議員   十一番 吉村和武議員   十二番 楳津博士議員   十三番 高橋啓介議員   十四番 阿部昇司議員   十五番 加賀正和議員   十六番 森谷仙一郎議員   十七番 鈴木 孝議員   十八番 大内理加議員   十九番 奥山誠治議員   二十番 菅原 元議員  二十一番 青柳信雄議員  二十二番 小池克敏議員  二十三番 木村忠三議員  二十四番 中川 勝議員  二十五番 小野幸作議員  二十六番 児玉 太議員  二十七番 金澤忠一議員  二十八番 伊藤重成議員  二十九番 舩山現人議員   三十番 田澤伸一議員  三十一番 森田 廣議員  三十二番 坂本貴美雄議員  三十三番 星川純一議員  三十四番 広谷五郎左エ門議員  三十五番 佐藤藤彌議員  三十六番 志田英紀議員  三十七番 野川政文議員  三十八番 阿部賢一議員  三十九番 鈴木正法議員   四十番 佐貝全健議員  四十一番 平 弘造議員  四十三番 今井榮喜議員  四十四番 後藤 源議員欠席議員(一名)  四十二番 阿部信矢議員説明のため出席した者  知事          吉村美栄子君  副知事         細谷知行君  企業管理者       小松喜巳男君  病院事業管理者     新澤陽英君  総務部長        深澤良光君  企画振興部長      廣瀬 渉君  環境エネルギー部長   森谷俊雄君  危機管理監       加藤祐悦君  子育て推進部長     清田浩史君  健康福祉部長      大泉享子君  商工労働観光部長    長谷川潔美君  農林水産部長      若松正俊君  県土整備部長      岡 邦彦君  会計管理者       草苅信博君  財政課長        志賀真幸君  教育委員会委員長    長南博昭君  教育長         菅野 滋君  公安委員会委員長    前田直己君  警察本部長       世取山 茂君  代表監査委員      会田稔夫君  人事委員会委員長    安孫子俊彦君  人事委員会事務局長   矢口俊雄君  労働委員会事務局長   仁科義英君     午前十時零分 開議 ○議長(鈴木正法議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第八十四号議案から日程第二十四議第百七号議案まで及び日程第二十五県政一般に関する質問 ○議長(鈴木正法議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第八十四号平成二十五年度山形県一般会計補正予算第一号から、日程第二十四議第百七号特別職の職員に対する退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定についてまでの二十四案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第二十五県政一般に関する質問をあわせ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 六番矢吹栄修議員。 ◆6番(矢吹栄修議員) おはようございます。一般質問のトップバッターを仰せつかりました自由民主党の矢吹栄修でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、恒例によりまして、私、歴史オタクでございますので、幕末の名言を引いて始めさせていただきます。「一言で国を滅ぼす言葉は『どうにかなろう』の一言なり。幕府が滅亡したるはこの一言なり」。これは小栗上野介の言葉であります。「どうにかなるだろう」などという言葉は国を滅ぼす。政治や行政に携わる者は、「どうにかする」という気概を持って事に臨むべきだという警鐘かと思います。 また、私の好きな小説にこんな一節がありました。「故郷だから守るのではない。命がけで守って初めて故郷と呼べるのだ」という言葉であります。 私は、故郷を命がけで守るべく、「どうにかなるだろう」ではなく「どうにかする」の気概のもとに、今回もさまざまな提案と質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 早速まずは故郷のために一つ目の質問、モンテディオ山形に関することを質問させていただきます。 最初にお断りいたしますが、この件について、私は知事や執行部を責めるつもりはありません。しかしながら、過熱した報道や注目度によって不確定な臆測ばかり飛び交っている現状を思うと、一度しっかりと知事と執行部に考えを伺い、議員各位、マスコミ、県民の皆様の意識を一つにしなければならないと考えます。 臆測を排するためにはっきりすべきことを集約すると、次の三つになろうかと思います。一つは、サッカー専用スタジアムは建設することが前提なのか。二つ目は、スタジアムを建設するとしてその時期の問題。建設はここ二、三年でされるものなのか、十年以上未来の将来的な夢なのか。そして三つ目は、よく知事が口にされる「オープンな議論」という言葉の真意について。すなわち建設の議論はどこでなされ決定されるのか。この三点についてであります。これを明らかにすることによって臆測や不安を排し、スタジアム建設という夢に向かっていけると思いますので、何とぞ明確な御答弁をお願いいたします。 私は、ホームの試合ではゴール裏で飛びはねながら応援している一サポーターでもあります。その私にしてみれば、サッカー専用スタジアムは一つの夢であり、スタジアム建設に向けた研究を天童市議の時代から行ってまいりました。そんな中、突如として山形市長がこの二月に、県に対して、「Jリーグの秋春制移行に伴い、冬季のJリーグ公式戦が可能な新たなモンテディオ山形のスタジアムの整備を検討する際は山形市と共同して山形市内に整備してほしい」と発言しました。自分が公約で掲げたドーム建設の予算を凍結した上で、いきなり三月議会の初日に発言したもので、これはかなり異常な、というよりは本当に異例の事態と言わざるを得ません。異常な提案のなされ方をしたために、既にサッカースタジアムが山形市に建設されるのが既定路線なのではないか、でなければあんなことをあんなふうに発言するはずがないといった臆測が飛び交い、報道が過熱し、県民の注目が一気に集中しました。 驚き、憤りを覚えたのは天童市民です。県の総合運動公園は、なかなか決まらない国体の会場を建設するために、地元の方々の協力と土地の提供があってできた血と汗の結晶であります。そして、そこで活動するモンテディオ山形なのだから市民挙げて支えなければと、まだ観客が入らないころから応援し、モンテの応援隊をつくって支援し続け、やっとJ1昇格の歓喜、そしてJ2降格の悔しさを分かち合ってきたのであります。こうした経緯を考えれば、天童市民の怒りは当然のものであります。にもかかわらず、「モンテは天童市のものじゃないだろう」などという批判が天童市に寄せられたのであります。しかし、天童市民はそんなことを言ったことは一度もなく、むしろ、県民みんなで応援しようと呼びかけて、率先して支援してきたのであります。 こうした感情的な思いもあって、結局、サッカー専用スタジアムは山形市と天童市の誘致合戦のような様相を呈してしまいました。このような状況は、私としても非常に不本意です。本来、モンテディオ山形が強くなり県民に愛されることが最重要視されるべきであり、天童市長も冷静にそう繰り返し、マスコミに対してそう発言してまいりました。 山形市長がスタジアム建設を目指すことの是非はおくとしても、その提案の仕方が正しかったとは思えません。こうした混乱と不安を招いたことに対して、山形市長は非難されてしかるべきだと考えます。しかし、ここは山形県議会ですので、その非難はぜひ山形市議会にお任せしまして、本題の質問をしていきます。 先ほど述べたとおり、最重要視されるべきはモンテの強化と発展であって、議論の出発点はそこにあり、そのために運営を安定させ、チームの基盤を強化し、選手の育成と獲得に努めていくということがまずは最大の課題であります。これは誰もが意識を同じくすることだと思います。ですから、今、チームの基盤と運営強化のために二十一世紀協会の中で協議がなされ、株式会社化や一般企業の参画の議論がなされ、アビームコンサルティング株式会社パートナー企業となりました。 このパートナー企業によりますと、コンサルティングのノウハウを生かして経営企画やスタッフ派遣、新ビジネス創出などを行い、事業規模を拡大し、チームの強化へとつなげることを提案していますが、あくまで二十一世紀協会が運営の主体であることは侵さず、資金的な出資もいまだ未定ということであります。 スタジアムに関しても、NDソフトスタジアムを活用することがそもそも募集の前提であり、総合運動公園の指定管理者となることを短期目標としております。新スタジアムのイメージづくりという項目もありますが、これはあくまで長期的展望であり、しかも、これはあくまで提案であって、決定権がこの会社にないのは明らかであります。つまり、新たなパートナーにしても、まずは経営の安定とチーム強化が先であって、スタジアムの話は長期的なその先にある議論という見解を一にしているわけであります。 まずは経営の安定とモンテが強くなること、それがなし遂げられて、さあ、その先に選手が活躍する環境整備や観客の満足度向上のためにやはりスタジアム建設が必要だとなれば、そこで初めて、どの程度の予算をかけるのか、現状のスタジアムに手を加えるのか、もしくは新たに建設するのか、新たに建設するとすればどこに、どんな規模でどういった施設をつくるのか、こうした議論がなされるのだと思います。 これまで、もうスタジアム建設が決まっているのではないかとの臆測から、こうした議論の段階を全てすっ飛ばして、どこにつくるかという議論に終始してきたのが問題だったのだと私は考えております。 知事は、ずっとオープンな議論をと発言されてきましたし、二十一世紀協会での議論をまつとしてこられました。この発言は、少し誤解されているのではないかと思います。オープンな議論とは、どこにつくるのか、それこそ山形市や天童市、ほかの市町村や株式会社まで加わって誘致合戦するオープン戦をするような印象ですし、二十一世紀協会での議論をまつというのは、二十一世紀協会がスタジアム建設の決定を下し、どこにつくるかも県が決めるのではなくて協会の決定をまつといった印象であります。 しかし、こうした印象はあくまで誤解であり、知事のこれまでの発言などをあわせ考えれば、真意はこのようなことだと思います。すなわち、透明性を持ちながらオープンにモンテの将来について話し合い、その発展のための議論を二十一世紀協会を中心に行っていこう、そしてその先にスタジアム建設が持ち上がるのなら、それはそれで大きな夢として大いに結構で、大いに議論しようじゃないか、これが知事の言わんとしていることではないでしょうか。 このような考えに立つならば、私が最初に申し上げた明確にすべき三つの事柄、スタジアム建設は建設ありきなのか、建設するならばいつごろなのか、そしてその決定はどこで議論され決定されるものなのかの三点について、おのずから答えが出るものと思います。 つまり、スタジアム建設はモンテ強化の議論の先にあるものだから建設ありきというわけではない。ここ二、三年で簡単に結論を出すものではなく、十年後二十年後の将来的な夢として広く議論をされた上で、どこでどうつくられるのか考えを示していく。そして最終的には、建設する主体たるべき県が、県民と議会の承認を経て建設の決定を下すことになるでしょう。 二十一世紀協会の理事長も、スタジアム建設に関しては県の力をかりることにならざるを得ないと発言しておりますし、税金を投入しての建設となれば、このような手順が踏まれるのが考えてみれば当然であります。私としても、スタジアム建設の議論はこうあるべきだと思いますし、こうした議論ならば正々堂々と語り、スタジアム建設を長期的な将来の夢として大いに議論できるわけですが、スタジアム建設の基本的な考え方について、ぜひ知事の意のあるところを伺い、臆測や誤解を払拭していただきたいと存じます。 さて、スタジアム建設の基本的考え方をただしたところで、スタジアム建設の具体を企画振興部長に伺います。 私は、隠れもしないスタジアム建設推進派ですが、同時に、これは相当な大事業であることも理解しております。 サッカー専用スタジアムと呼ばれるものは、どんなもので、どれほどの予算がかかるのか。サガン鳥栖のスタジアムが最も低予算の好例だと思いますが、これで大体約七十億円です。このスタジアムは、観客席に屋根がかかっていますが、ピッチには屋根がかかっていません。いわゆるドーム球場ではない。つまり、真冬になればフィールドには雪が積もって試合ができないのです。 そもそも事の発端となったJリーグの秋春制への移行は、真冬に試合することを前提としています。山形市長の言うように真冬でも全試合山形で開催すべく全天候型のドーム型球場を建設するにはどれほどの予算がかかるのでしょうか。 Jリーグは人工芝での試合を認めていませんから、天然芝のピッチをつくらなくてはならないのですが、スタジアムを屋根で覆ってしまうと太陽光が届かず、人工芝でしかできません。そこで、大分ドームのように開閉式の屋根にするか、札幌のように、天然芝のピッチそのものをスライドさせて外に出すかして天然芝に日を当ててやる必要があります。 大分ドームの建設費は、ドーム本体だけで二百数十億円。山形の雪の重みを考えれば、もっと予算がかかるでしょう。仮にそうしたドームをつくっても、結局雪は降るわけですから、雪かきをしなければ天然芝に日は当てられませんし、真冬に天然芝を育てられるか疑問です。もしJリーグが人工芝も認めるように規定を変えたとすればもう少し予算を抑えられるでしょうが、ドーム球場をつくるには、とても七十億などという予算で建てられるものではありません。 つまり、秋春制移行そのものが雪国にとって不適なのであって、まず我々北国の者がしなければならないことは、団結して秋春制に反対することが先なのだと思います。まして、日本が合わせようとしている秋春制をしいてきたヨーロッパ自体が、逆に春秋制へ移行しようかという動きも見られます。 また、全国の例を調べたところ、スタジアムをコンサートなどの多目的に使うことは、天然芝を荒らしてしまうため非常に難しいと聞いております。つまり、サッカー場としての純粋な使用しか期待できないため、なるべく低コストで建設することが望ましいのです。 さて、そうした議論を踏まえて、サッカー専用スタジアムにはどういったものが必要なのでしょうか。まずは広大な敷地、スタジアムそのものと駐車場、ミーティングルームや練習場などのハードです。広大な敷地は転がっているわけではなく、土地を買うにしても、予算の問題と農地転用や所有者の合意といった課題が必ずあります。余りにも郊外につくるのでは便利さの上で本末転倒ですし、もし市街地につくるとしても、交通渋滞の問題や応援による騒音への苦情などの問題があります。 こうした課題を地域住民から理解してもらった上で、熱い応援をそこから引き出さなければならないのです。予算と施設と住民の理解と、それらが全てそろって初めてスタジアムは輝くのであります。どこにでもいいからスタジアムさえつくってしまえば観客が来て盛り上がるなどというものではないのです。 もし総合運動公園の中につくるならば、新たな土地や駐車場や練習場は必要がありません。ほかの場所でこれ以下の予算でよりいい条件のスタジアムをつくり、周辺の課題をクリアできるところは皆無でしょう。私が、総合運動公園こそがサッカー専用スタジアムを建設するのに最適とするゆえんであります。 しかし、これはあくまでスタジアム建設がなされるのであればであります。私も天童選出の県議として、ぜひ天童で建設をと胸を張ってアピールすることでありましょう。ですが、執行部としては、実際どの程度スタジアム建設について検討しているのでしょうか。 まずは、そもそも事の発端となった秋春制移行の議論はどうなっているのか、どのような交渉があるのかを伺います。 また、スタジアムがクラブライセンスの施設基準全てをクリアしていないことについて不安視する声もあり、二十一世紀協会としては、今後の改善計画を提出することで当面の対応としているようですが、これにJリーグの方針や二十一世紀協会の対応に変化がないか伺います。 さらに、スタジアム建設について、具体的な検討や想定というものはなされているのでしょうか。例えば建設費、設備の想定、周辺の住環境に与える影響など、想定すべき課題は多々あると思います。こういった検討がなされているのでしょうか。もし全く白紙なのであれば、スタジアムは喫緊に建設するものではない、将来的な夢だという先ほど私が指摘したことを示唆するものだと思いますので、あわせて企画振興部長に伺います。 モンテディオ山形の質問だけしているわけにもいきませんので、二つ目の質問に移らせていただきます。 大学など高等教育機関で学ぶ若者の育成に対する支援について質問をいたします。 県は、人材育成を最大の目標として掲げ、特に若者の育成、若い力の活用に力を入れておられます。幼児期の育成については子育て推進部及び教育庁において支援がなされ、小学校から高校までの教育は「いのちの教育」のスローガンのもと教育庁が掌理し、社会に出た後の技術習得やキャリアアップに関しては商工労働観光部がメニューを用意しています。しかしながら、私としては、その間の大学生、短大生といった高等教育機関の人材に対する支援という観点が希薄なことに問題意識を持っています。 もちろん、大学自治という理念から、行政が大学に対して指導することはできないという歴史があるために、これまで行政側に大学を初めとする高等教育機関へ介入できなかったという事情は十分理解しております。高等教育機関にはそれぞれの建学の精神があり、これに対してどういう教育をしなさいと強制できないのは当然でしょう。 しかし、時代は変わってきました。大学はかなりの割合の高校生が進学する時代ですし、学者を育てたり研究のみに専念する単なる学究の府だけではなくなってきています。学生たちも積極的に社会活動に参加するようになっていて、国も社会に通用する人材を育成するよう大学側に要請しています。 県内においても、これを受けて大学コンソーシアムやまがたが設立され、それぞれの高等教育機関が連携して講座を構築しつつあります。フィールドワーク、地域課題の調査解決、起業家育成、リーダーシップ教育などを柱として、山形講座と銘打っていますが、内容的にも、非常に社会とのかかわり、社会に通用する人材というものを強く意識しているのがわかります。 ただ、大学が社会とのつながりを持とうとしても、なかなか他団体と連携するには至っていないのが現状のようです。教授たちの個人的なつながりで実地で学べる講座を立ち上げているようですが、山形には、いい事業を行っている公益団体がたくさんあります。 天童市を例にとれば、商工会議所青年部の平成鍋合戦、青年会議所の全国中学生選抜将棋大会など、大きな事業を行っている青年経済人が集まる団体があります。そういった団体はこのごろ人数が減ってきていますので、学生さんの力やアイデアは大いに求めるところでしょう。これらの事業に学生さんが参加し、企画立案、外部との交渉、準備に対する膨大な事務などをともに経験することは、最高のフィールドワークになるでしょう。これは、学生とその少し上の世代の交流にもつながります。県としても、若者チャレンジプロジェクトなどの独自の事業は結構なことなのですが、ぜひこういった既存の団体の力と若者の力を合わせることを考えていただければと思います。 また、企業や行政と学生の連携も今後ますます進めるべきです。今回私は、山大の先生から、中国語や中国文化を学んでいる学生に対して、中国にかかわっている企業や海外進出を担当する行政機関から講師を招いて授業を行い、将来的には中国での商談会などに学生を派遣して実地研修をする企画ができないものかと相談を受けました。 こういった大学側の需要はほかにもたくさんあるはずです。それは、リーダーシップ教育や起業家育成といった学生のスキルアップになると同時に、企業と大学の人材交流にもつながるはずです。語学力や工学の知識などのスキルを持った学生とそうした人材を求める企業が交流できれば、学生の就職につながり、山形の優良な企業の発信と人材の地元定着につながるでしょう。 こうしたことを思い、ぜひ提案したいのは、大学・行政・経済界・公益団体などの橋渡しができる機関ができないものかということです。大学側が公益団体や企業などと連携して事業を行いたい場合、公益団体が学生と事業をする場合、企業が人材や情報を大学に求めたい場合、情報を集約してワンストップに相談に乗り、橋渡しをしてくれる場所・機関があればいいと思うわけです。 まだ緒についたばかりですが、大学コンソーシアムやまがたが器としてありますので、ぜひここに行政側や商工会議所などの経済界から人材を交流させたりして、こういった機関へと育てられればいいと考えます。 さらに、行政側の支援強化も必要です。これは私も今回初めて知ったのですが、高等教育機関となると担当は教育庁ではなく総務部学事文書課だそうで、少し違和感を覚えましたが、他県でも教育庁以外の部局が担当するケースが多いそうですし、人材育成の計画を策定する委員会には学事文書課も参加しているそうですので、大学生という視点が抜け落ちているわけではないのでしょう。しかし、組織体制はともかく、人材育成を柱とする県としては、今後は、より大学を初めとする高等教育機関という視点をクローズアップしながら支援体制を強化し、部局横断的に人材育成の一本の線をつないでいただきたいと思います。 このように、大学コンソーシアムやまがたが橋渡しの役割を担うことにより、大学と行政や経済界の連携がさらに強まり、いい人材が育ち、そして山形に定着してくれることが山形の未来につながると考えますが、こうした経済界などと連携した大学生の育成に対する支援について、総務部長に伺います。 三点目に移ります。 「コンクリートから人へ」などといった言葉と公共事業は悪だというような認識は、本当に必要な道路や河川整備といった予算すら削ることにつながり、県の発展が阻害され、県土が荒れることにつながったと思います。当然、建設業界は疲弊してきており、今回の大型補正いわゆる十五カ月予算を受けても、これを受ける体力や設備、人員が不足している状況です。地域に密着した活動を行い、震災や大雪のとき頼りになる建設業が安定して振興していくことこそ必要だと考えます。 人材の払底の問題に関しては、予算特別委員会で佐藤議員が質問予定ということで譲るとして、私からは、建設業界の振興と入札制度のあり方について伺います。 まずは、今回の十五カ月予算に関して、資材単価が急激に高騰した場合の単品スライド、発注の時期的な平準化、発注ロットの大小を取りまぜた工夫などの要望が上がっており、これら現場の要望に柔軟に対応していただきたいと思います。 現場に合わせた柔軟な対応と今申し上げましたが、まさしく重要なのは、現場に合わせた柔軟な発注と入札制度だと考えます。 まず思うのは、過度の一般競争入札という制度は本当に正しいのでしょうか。いたずらな競争性が予算の削減につながり、安かろう悪かろうになっていないでしょうか。要は、透明性があり犯罪性がないことが重要なのであって、指名競争入札も悪ではないと思います。新たに進出する企業へのチャンスを確保しつつも、実績がある業者での指名競争入札による安定した仕事を求めねばならない事業は多いと思います。指名競争入札の対象とする工事をふやしている県もあるようです。二十者ルールというものが適正なのかどうかも含めて、一般競争入札へのこだわりは時代にそぐわなくなっていると考えます。 また、予定価格が適正かという問題もあります。現場を見るととてもその予定価格ではできないということになれば、入札不調になるかダンピングすることになってしまう。特に、これを事前公表にすると、机上でだけの判断で、算定せずに単に予定価格の九〇%で入札するなどということが起きます。予定価格の事前公表への疑問が浮かびます。 既に原価のような工事価格で予定価格が出て、そこからさらに安価にしていけば、業界の底上げにならないでしょう。予定価格が適正なのであれば、それに近い金額で落札されることに問題はないはずですが、九八%といった落札率で落札が続くと談合ではないかとマスコミに言われることになります。昔はいざ知らず、公共事業がもうかる時代ではなくなっていますし、建設業界は一、二%の利益率でやっているのが現状でしょう。我々も含め、県民もマスコミも認識を改めるべきときが来ているのではないでしょうか。 これからは、行政側としても、建設業の持続的発展を念頭に置いて、しっかりと発注側の人材も確保した上で現場の声を聞いた施策展開をしていくことが大切でしょう。河川ボランティアや防災協定とか建設業に求めることだけふやすのではなくて、未来に希望を持って人材確保や設備投資ができるように将来ビジョンを示すこと、新事業進出を進めることも大事ですが、本業の建設業で生きていけるような支援事業をしっかりと行っていくこと、これが行政側の仕事だと思います。 大事なのは、県民にとって必要な質のいい公共物を提供してもらい、利便性と安心安全を確保することであります。その上で建設業界が適正に振興でき継続できることが考えの中心にあるべきで、それゆえにこそ入札制度は非常に重要です。入札にはこれが正しいなどという形はないと考えます。一般競争入札が至上の制度ではないと申し上げましたが、外部からの批判をかわすだけではなく、柔軟にかつ試行錯誤しながら入札を考えねば、本当によい公共事業、そして建設業の振興はないと考えます。 建設業の振興策と入札制度に対する考え方について県土整備部長の考えを伺います。 最後、四つ目は、山形の農産物をいかに発信し、いかに観光などにつなげるかという視点で質問いたします。 去年、農林水産常任委員として北海道に行き、北広島市にある「くるるの杜」を視察させていただきました。広大な施設に北海道全土の農産物を集めた直売所、北海道の農産物を使ったバイキングレストラン、そして農地も併設されていて、農業体験や料理教室などのイベントが多く行われるというすばらしい施設でした。レストランはいつも予約がとれないくらい満杯で、直売所の売り上げ、入場者数ともに相当な実績を上げておりました。ぜひ山形にもこうした施設ができないものかと思ってきたところです。山形の農産物を発信する象徴の施設として、山形の農産物を味わえる拠点として、子供たちや県民が農業に触れる場所として、そして伝統野菜や特産物を使った料理を伝承する場所として、非常に有益な施設だと思います。 また、来年のデスティネーションキャンペーンに向け、山形の農業を活用した観光メニューの開発により一層力を入れる必要があるかと思います。天童でも、JRが旅館に泊まった朝のサクランボの朝摘みという企画をしたところ、去年の倍の申し込みがあったということです。 観光客が楽しめるメニューを用意すれば必ず実績は上がります。要は、メニューをいかに多く、豊富に用意するか、いかに地元の人間でも楽しいと思えるものを用意できるかだと思います。 例えば、サクランボや桃の花をめでる新しい花見、芋煮を体験しながら釣りをする、時間を区切ってではなくてブルーシートを敷いて宴会をしながらサクランボ狩りをするなど、いろいろ考えられると思います。芋煮などは、県外の人に聞くとやってみたいという人が非常に多いです。例えば、それらを簡単な体験型のものとしてパッケージングして誘客につなげるようにするのがいいと思います。行政としては、農林水産部と商工労働観光部が連携しながら、このような取り組みをバックアップしていく必要があると思います。 以上、農林水産物を活用した観光振興について御提案を申し上げながら、今後の展望や提案に対する御所見を商工労働観光部長に伺います。 以上四点について質問し、私の壇上からの質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(鈴木正法議員) 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) おはようございます。議員から、スタジアム建設に関する基本的な考え方について御質問をいただきましたのでお答えいたします。 私は、モンテディオ山形がチーム力を強化してJ1に復帰・定着し、その活躍を見ることで、県民の皆様が勇気づけられ、元気になり、さらにはスポーツ振興や地域活性化にも結びつくことが重要であると考えております。そのため、山形県スポーツ振興二十一世紀協会において、モンテディオ山形のJ1復帰・定着を念頭に法人運営改革に取り組んでいることは、大変望ましいことだと思っております。 スタジアム整備につきましても、モンテのチーム力の強化や運営改善に向けた検討の中で議論されていくものと考えております。 このたび、二十一世紀協会において、六月十三日に新たな事業展開に向けて運営パートナーを決定し、改革への第一歩を踏み出したのは御案内のとおりであります。スタジアム整備につきましては、二十一世紀協会とこのパートナー企業がチーム強化を考えるその延長線上にある事案として、これから詰められていくものと思っております。 県としましては、モンテディオ山形は本県の宝であるとの認識のもと、まず法人運営改革が着実に進展するよう見守ってまいりたいと考えております。 次に、議論の進め方でありますけれども、将来的なスタジアム整備につきましては、これまでもオープンな議論によって進められることが望ましいと申し上げてまいりました。そのことなんですが、それは、多くの関係者にきちんとした情報を提示しながら、透明な議論の中で、県民の皆様の理解が得られる形で進められることが望ましいという意味でございます。そうした中、二十一世紀協会では、スタジアム構想の策定を含めた法人改革を実行するためのパートナーを公募で求め、また、パートナーからの企画案についても公表したところであります。 今後も、可能な限り県民の皆様から見える形で議論がしっかりと進められることを期待しております。 ○議長(鈴木正法議員) 深澤総務部長。 ◎総務部長(深澤良光君) 私には、大学などの高等教育機関で学ぶ若者の育成支援について御質問いただきました。 今日の大学教育におきましては、地域コミュニティーの衰退やグローバル化の進展など激しく変化する社会の中で主体的に課題を探求し、幅広い視野から最善の対応を導き出す、いわゆる課題探求能力のあるそういう人材の育成が求められております。県といたしましても、人づくりは各般の施策を通じた重要な柱としているところでありますので、県内の大学におきましても、このような有為な若者を地域に送り出すため、実習や社会人としての体験活動を取り入れたより実践的な教育の充実が望まれるところであります。 このような中で、議員お話しの大学コンソーシアムやまがたにつきましては、行政との連携も積極的に図る観点から、県もその運営に参画しております。今年度から新たに各大学や経済団体と協働でカリキュラムの検討を行い、山形の魅力ある教育資源を活用して、社会人として求められる能力を育成する社会人力育成山形講座を開催することとしたところであります。 さらに、県といたしましても、大学教育における地域社会との連携を推進するために、今年度新たに、県内の私立の大学等を対象としまして、経済界や地域、行政等と連携しまして教育の充実を図る取り組みを支援します高等教育機関やまがた人材育成プログラム推進事業、これを始めたところでございます。この事業におきます具体的な採択例といたしましては、企業経営者から直接経営の理念やリーダーシップ論を学び・考えるインターンシップ等の取り組み、また、別の事業としましては、地域の高齢者との交流を通じたコミュニケーション能力の習得と、直接介護現場で課題認識を深める福祉人材養成のための取り組み、こういったものを採択しております。 このように、県内の大学におきましても、経済界、地域、行政等と一体となった人材育成を進める動きが見られるようになっておりますけれども、まだまだ緒についたばかりでありまして、特に、経済界が求める多様な人材需要に応じる取り組み、すなわち経済界を巻き込んだより実践的な大学生の人材育成の取り組みにつきましては、今後の課題となっております。 このため、県といたしましては、大学コンソーシアムやまがたを中心といたしまして、連携をさらに深めていくよう、例えば、学生が市場調査の活動やイベントへの参画などを通しまして直接企業活動にかかわり、就業の意欲や社会人としての能力を養ったり、あるいは県内企業のよさを認識して県内企業に興味を持つようにするなど、企業などから協力や参加を得られる仕組みづくりにつきまして、大学側とともに検討してまいりたいと考えております。 また、大学のデザイン力を活用した県内企業への商品開発を支援するデザイン共創促進事業や、子育てに関する地域情報を発信する子育て応援情報発信事業など、これらは大学と協力した取り組みでございますけれども、現在、各部局において進めております大学と連携した取り組みにつきまして、大学生の育成という視点も踏まえまして、引き続き推進してまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 廣瀬企画振興部長。 ◎企画振興部長(廣瀬渉君) サッカーのスタジアムのあり方に関する検討についてお答えを申し上げます。 まず、秋春制への移行に関するJリーグの動向についてお答えをいたします。 リーグ戦を七月に開幕して翌年の五月に閉幕するいわゆる秋春制に移行することにつきましては、六月十二日に東京で開催されましたJ1・J2の合同実行委員会、これは、Jリーグの代表理事でありますチェアマンを筆頭に、加盟全四十クラブの代表者などで構成されるものでございますが、ここで協議をされたところであります。 実行委員会に出席した山形県スポーツ振興二十一世紀協会からの報告によりますと、これまで検討されてきた平成二十八年シーズンからの移行は見送るものの、サッカー環境の国際的なスケジュールなどに照らし、将来的に秋春制に移行することについては基本的に合意をしたと聞いております。 なお、移行の時期は、今後、国際的な動向などを見きわめるとともに、積雪地域の施設整備なども進めながら協議をしていくということであります。 次に、Jリーグのクラブライセンス制度についてでございますが、昨年二月にこの制度が施行されまして、本年二月に施設基準の一部が強化されたところであります。特に、スタジアムの屋根については、「観客席の三分の一以上が屋根で覆われていることが推奨される」と規定されていたものが、「三分の一以上が覆われていなければならない」というふうに改められたところであります。改定の目的は、基準をクリアできないクラブが半数にも及ぶ現状にあったため、各クラブの改善への取り組みを加速させることであります。 しかしながら、屋根の施設基準をクリアするためには多大な費用を伴うため、Jリーグ側も中長期的な取り組みにならざるを得ないと理解をしておりまして、当面は、クラブがJリーグに対し改善案、具体的にはスタジアム設置者との協議を進める旨の内容文書を出すことでございますが、これを提出することでライセンスを付与するという方針でございまして、これには変わりはありません。 したがいまして、県といたしましては、まず、この秋春制への移行については、引き続き二十一世紀協会などを通して情報の収集に努めながら、今後のJリーグにおける議論を注視してまいりたいと考えております。 また、クラブライセンスの問題については、今のところ、申し上げましたようにJリーグの対応方針について変更はありませんけれども、施設基準が強化されたという事実がございますし、また、他県のクラブにおいてスタジアムの新設とか改修の動きがあるということもございます。そういったことも踏まえまして、引き続き今後の動向を注視するとともに、正規のクラブライセンスの取得について課題認識をしっかり持っていく必要があると考えているところであります。 次に、スタジアムの整備についてでございますが、先ほど知事が答弁申し上げましたとおり、二十一世紀協会とパートナーとの間で、今、チーム力の強化や運営改善に向けた検討が始められておりまして、その中で議論することとされておるところであります。 御質問のありましたスタジアムの整備に関する具体的な検討や想定ということでありますが、今申し上げましたとおり、二十一世紀協会とパートナーとの間でこれから議論が進んでいくという段階でありますから、県としては、その動向を見守ってまいりたいと考えておるところでございます。 ○議長(鈴木正法議員) 長谷川商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(長谷川潔美君) 農林水産物を生かした観光振興についてお答え申し上げます。 本県の豊かな農林水産物は、まさに魅力ある観光資源でございまして、農観連携は観光振興の重要な視点であると認識してございます。県では、この視点に立ってさまざまな取り組みを進めてまいりました。新鮮な山形の農林水産物を販売する朝市や産直施設を初め、多様なグリーンツーリズムの取り組みが県内各地で行われております。 また、山形県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部では、地元の農林水産物やその調理方法を活用して、温泉地ごとに特色ある魅力的な朝御飯のメニューを開発し提供する「朝ごはんプロジェクト」の全県的な展開に取り組んでいるところでございます。 現在開催中の「山形日和。」観光キャンペーンでは、山形を代表する農産物でありますサクランボをテーマに、若者が主体となってつくる「日本一さくらんぼ祭り」をこの六月二十二日土曜日、二十三日日曜日に開催し、山形から元気を発信してまいります。多くの皆様の御協力のもと、山形を代表する祭りに育ててまいりたいと考えてございます。 さらに、サクランボの旬の時期にあわせ、県内での周遊性を高めるため、サクランボ観光果樹園、旅館や観光施設、商店街、飲食店等の協賛店をめぐるスタンプラリーを実施いたします「さくらんぼパスポート」事業を展開しております。 最近では、朝摘みサクランボの企画が好評を得ておりますことなどを鑑みますと、農林水産物の持つ観光資源としての潜在力は極めて大きいものがあると改めて認識しているところでございます。 県といたしましては、関係団体との連携も密にしながら、伝統野菜の活用など農林水産物の観光資源としての掘り起こしや磨き上げを行い、来年の山形デスティネーションキャンペーンに向けて旅行商品化につなげてまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 岡県土整備部長。 ◎県土整備部長(岡邦彦君) 建設業界の振興と入札制度のあり方についてお答えいたします。 県内建設業は、社会資本の整備のみならず、災害対応や除排雪などの地域維持活動、地域の雇用の確保に大きな役割を果たしております。このため、県としては、建設業の振興を図るため、県公共調達基本条例に基づく入札契約制度の改善を通して、公正な競争環境を確保するとともに、技術と経営にすぐれた建設業者の育成に努めております。 そこで、建設工事に係る入札契約制度の改善の取り組みとしては、まず一つ目の取り組みとして、入札方式は地方自治法の原則どおり一般競争入札を基本としております。そして、価格と品質に総合的にすぐれた調達を実現するため総合評価落札方式を導入し、価格だけの競争ではなく、建設業者の技術力や地域貢献活動などを適正に評価して落札者を決定できる仕組みにしております。また、一定の工事成績を求める工事成績要件や同種工事の施工実績を求める施工実績要件などを入札参加の条件とすることにより、高い技術力を持つ建設業者の中から落札者を決定できる仕組みとしております。 なお、指名競争入札については、競争性、透明性、公平性等の確保の観点から、災害の応急工事など、早期に発注する必要のある工事に限定して適用しております。 二つ目の取り組みとして、予定価格は、資材単価や労務単価などの実勢価格を反映した適正な単価をもとに設定しております。特に、平成二十五年度に発注する工事の設計労務単価は、昨年度に比べ約二〇%の大幅な増加となったところでございます。また、予定価格は、平成十三年度に全工事を事前公表としたところでございますが、県土整備部では、平成二十年度から一部について事後公表を試行しており、今年度は、三千万円以上の工事の八割、さらには三千万円未満の工事の二割を事後公表として試行し、建設業者の積算能力等を検証することにしております。 三つ目の取り組みとして、低価格入札対策については、平成二十三年度に、低価格入札があった場合に価格が適正かどうか調査する基準額を引き上げたことなどにより、低価格入札の発生は激減し、平成二十四年度の県土整備部の低入札発生は三件となり、発生率としては〇・七%となっております。また、工事規模に応じた地域要件と参加業者ランクを定め、県内業者が施工可能な工事は県内業者に発注しており、平成二十四年度の地元受注率については、件数ベースで九五・七%となっております。これらの対策により、平成二十四年度の落札率は九四・二%と前年度から一・八ポイント上昇し、県内建設業の収益率も年々改善されております。さらに、工事成績評定点も年々上昇し、品質向上の傾向が見受けられます。 県といたしましては、技術と経営にすぐれた建設業者が今後とも地域社会を支えていけるよう、公共調達評議委員会などの意見も聞きながら柔軟かつ的確に入札制度の改善に努め、山形県の発展へとつながる建設業の振興を図ってまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 六番矢吹栄修議員。 ◆6番(矢吹栄修議員) スタジアム建設に関して、知事からはこれから詰められる、企画振興部長からもまだまだ検討もしていないというような答弁だったと思いますので、時期的な部分としては、ここ二、三年後にどこかにつくるとかいう具体的な話ではなくて、十年後二十年後の将来的な夢としてということで理解させていただきました。現段階においてどこにつくるかとか誘致合戦をするというようなこと自体がナンセンスな議論だというふうに私は理解させていただきます。正当な手続で透明性を持って議論されるということでございました。 ただ一点気になったのは、その動向を見守るという言葉に終始されたわけですが、動向を見守るというのはどういう意味なんでしょうか。スタジアムを建設するかどうかという議論をまって、どこにつくるかもそれが決まってきてそれが上がってくるというようなことでは、透明性を持った公平な議論にはならないし、かえって二十一世紀協会等々に誘致したい市が今までどおりまた誘致合戦を繰り返すということでは、非常にこれは本末転倒なんじゃないかなというふうに思うわけでして、ちょっとその辺誤解を生むんじゃないかなというふうに思います。単にその動向を見守る、スタジアム建設に対しての議論がしっかりするまで県は何もしない、そこに介入しないという意味なのか、スタジアム建設議論に対して、ここにつくりますので協力をお願いしますというところまで動向を見守るのか。 県としては何もそこに介入しないでずっとほっておくというように聞こえてしまうと、これはまたこれで誤解を生むと思いますので、その辺のしっかりしたところを企画振興部長お願いいたします。 ○議長(鈴木正法議員) 廣瀬企画振興部長。 ◎企画振興部長(廣瀬渉君) 動向を見守るということでございますが、このスタジアムの議論は、先ほど申しましたように、チームの強化、運営の延長線上の議論ということでございます。したがって、今、二十一世紀協会とパートナーとの間で、まずそのチームの強化という議論がなされているわけでございますので、したがってそこで議論がなされるべきだと、そしてその動向を見守っていくということでありまして、そこで何らかの姿なり形が、スタジアムについての議論がなされてくれば、そのものの内容について示された段階で当然また議論になってくると、そこはしっかりと開かれた形で議論をしていくということになろうかと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 六番矢吹栄修議員
    ◆6番(矢吹栄修議員) 再質問の回数もありますのであれですが、議論されるという形まで決まって、どこかで決まるということでないということだけはぜひしっかりしていただきたいですね。つくるかどうかという議論、欲しいかどうかという議論が何らかなってきて、チーム強化として必要だとなったときにやっぱりつくりましょうと。二十一世紀協会が全額出してつくるのでない以上、県がやっていくときになったら、どういう形でどこにつくるのかというのは、こちら側に来て議論されるべきだということで理解していいわけですね、そこだけはっきりさせたい。だれかが恣意的にどこかで裏で決めるものではないと、オープンな場所でやるんだということで理解していいわけですね。そうでしたら、その正当な場になったときに、我々は、公式な場所で正々堂々とどこがいいかというのを我々議員の立場として議論します。 そういうことで理解しましたけれども、とにかく、どこがホームかなどというのはまだまだ時期尚早な話だと、私はそう思っておりますし、ぜひそういうことをあおり立てるようなことはないように県側も指導していただきたいですし、マスコミとか県民の皆様にもその辺の意識を一にしていただきたいことをお願い申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(鈴木正法議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十分再開いたします。     午前十時五十九分 休憩     午前十一時十分 開議 ○議長(鈴木正法議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 四番菊池文昭議員。 ◆4番(菊池文昭議員) おはようございます。公明党の菊池文昭でございます。本日は、初の一般質問の機会をいただきました。まことにありがとうございます。 けさの山形市の空は、梅雨に入り多少雲があるとはいえ、きのうの雨も上がり、とても爽やかな天候であります。きょうの吉村知事の上着の色、隣の石黒議員はずんだ色と表現しましたが、私は、きょうの答弁につきましても若草色のような爽やかな答弁を御期待申し上げ、項目が多岐にわたっておりますので、早速質問に入ります。 初めに、人口減少社会における支え合い社会づくりについてであります。 山形の歴史は、自然の厳しさとそこに挑む人たちによって担われてきました。と同時に、自然の恵みを生かす知恵と技術と努力とによって支えられたものでもあります。しかし、二十一世紀の山形は、これまで経験したことのない困難な課題の解決に挑まなければなりません。それは、少子高齢・人口減少社会への対応であります。 平成十七年国勢調査の結果から、日本全体の人口が減少に転じたことが明らかになり、山形県は、それよりも八年早く平成九年に出生数よりも死亡者数が多い人口減少社会に転換をいたしました。その結果、平成二十二年での山形県の高齢化率は二七・六%で、全県民の四人に一人以上が六十五歳以上の高齢者になりました。 これは、十年後の日本全体の傾向を先取りしたものであり、人口減少社会へのソフトランディングという二十一世紀日本社会の最も困難な課題に全国に先駆けて挑んでいるわけであります。山形県が現在抱え、直面している課題を克服し、自然の恵み豊かな山形県を再生させる作業はますます重要度を増してくるものと考えます。 平成二十二年三月に策定した第三次山形県総合発展計画に基づき、人口減少に対応した取り組みと人口減少抑制への取り組みを強化しながら活力ある地域社会づくりを進めておりますが、直近の国勢調査から人口減少幅の拡大、少子高齢社会の進行、世帯人数の縮小と高齢世帯の増加が数字としてあらわれました。生産年齢人口は全人口の六〇%を切り、年齢構成指数では老年人口が年少人口の二倍となるなど、この傾向は、今後顕著にならざるを得ません。 さて、これまで、我が国の農業を中心としていた社会は、地域相互の助け合いによって人々の暮らしが支えられ、戦後の高度経済成長の中、工業化・都市化の進行とともに、その支え手は地域社会にかわり、行政が福祉として高齢者、障がい者、児童や子育て世帯を支援するようになり、現在では、その担うサービスと役割が次第に広がっております。 さまざまな公的制度の基盤が整備される一方、これら制度と制度のはざま、谷間にあって既存の制度では対応できにくい問題や、住民の多様なニーズへのアンサーが適切にできないことも多く出始めております。現代の個人主義の傾向が強まる中で、御近所という人間関係が形成されにくく、地域社会での支え合う関係の変化が指摘されております。 これらのことから、地域福祉という考えをベースにしながら、多様な考えとそれぞれの時間と場所と意思を尊重しながらも、地域の中で生きとし生かされていることを考えながら生活していく社会を形成していくことは大切であると考えます。 子育て・介護や見守りなど、地域住民ができることを進めている地域もあります。本県でも、郵便事業者と連携しながら見守り活動を行うなどの取り組みを進めており、支え合う社会の実現に向け、行政の責務、事業者の役割と県民の自覚を促し、地域福祉を一層推進するべきであると考えます。 また、他県の自治体では、支え合う社会をつくる条例を制定しているところもあります。 少子高齢・人口減少社会での支え合う社会づくりに県はどのようなかかわりと取り組みをすべきとお考えなのかを健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、公文書管理のあり方についてお伺いいたします。 近年、自治体において公文書管理を見直す動きが進みつつあります。これは、二〇〇九年六月に国会で成立し二〇一一年四月に施行された公文書管理法を受けての動きであります。公文書管理法は、公文書を適正に管理することにより行政を適正かつ効率的に運営し、将来にわたって国民に対する説明責任を果たすことを目的としております。 この法律制定の背景のもととなったのは、いわゆる消えた年金記録問題や海上自衛隊の航海日誌の誤廃棄など、国のずさんな文書管理が明るみになったことを受けて制定への機運が高まりました。この公文書管理法の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し実施する努力義務が自治体に課せられたため、公文書管理見直しの動きが出始めました。 公文書は、国のみならず自治体においても県民生活に関する諸活動や歴史的事実の記録であり、県民共有の知的資源であります。公文書は、自治体における施策の決定過程等地域のあり方そのものにかかわる重要事項について、住民によるその検証を可能とするものとなり、民主主義の基本にかかわるものと言えるものであります。まさに、公文書の管理は自治体の重要な責務と言えます。また、東日本大震災の教訓から、大規模災害等から公文書をいかに守るかということも自治体の重要な役割であります。 さらに、重要な公文書を適正に管理し住民に対して有効に利用されるためには、受け皿となる公文書館が必要と考えられますが、昨今の自治体の財政状況等に鑑みて、新規に公文書館などの施設を設けることが困難なところも少なくないというのも実情であります。自治体によっては、公文書館として新たな施設を建設するのではなく、使用しなくなった図書館等を活用して公文書館として設置するなど、それぞれ自治体の財政負担を軽減しながら、適切な公文書管理を進めるための取り組みを工夫しているところもあります。 今後、地方主権、道州制に向けた流れもあり、自治体において行政の意思決定の過程等を文書として記録し保存することで、過去の経緯を検証し、将来の政策づくり、行政運営に役立てることができる公文書管理の仕組みはますます重要になるものと考えられます。 そこで、総務部長に、本県における公文書館としての機能を持つことなど、歴史的資料として価値を有する公文書の管理のあり方についてのお考えをお伺いいたします。 次に、安心・安全公共コモンズの活用についてお伺いいたします。 総務省は、現在、安心・安全公共コモンズの普及促進を図っております。 公共情報コモンズは、災害発生時やその復旧・復興に至るさまざまな局面において、住民の安全安心にかかわる公共情報を発信する自治体と、それを伝える放送事業者、通信事業者を結ぶ共通情報基盤であります。一般財団法人マルチメディア振興センターが運営しており、地方自治体やライフライン関係事業者ら発信側とマスコミや通信関連事業者ら受信側が、コモンズを利用することで効率的かつ迅速な情報伝達が可能になります。平成二十五年六月七日現在において、都道府県では十府県が既に運用開始または運用開始予定、十県が準備試験中という状況であります。将来的には、自治体以外にも、交通関連事業者の運行情報、ライフライン事業者の復旧見通し情報等への進展が見込まれ、この夏には、大手ポータルサイト、ヤフージャパンがコモンズと連携して情報配信することが予定されております。 今後、公共情報を共有する基盤整備の必要性が一層求められていることから、国の平成二十四年度補正予算では、コモンズの活用に向けての支援策、防災情報通信基盤整備事業として約三十億円が予算措置されております。 地方自治体における災害情報の発信は、市町村から都道府県、そして国へと一方向の報告にとどまることが多く、国民への提供や自治体間での共有という点ではまだおくれているのが実情で、改善が求められております。 大規模災害時には公的支援だけでは限界があることから、住民に対して迅速かつ正確に情報を提供できるシステムへのニーズが高まっております。独自に放送事業者等への災害関連情報を配信するシステムに取り組む地方自治体もありますが、データ形式やシステム間の接続方法などに独自性が強く、実際の運用面で課題となるケースも出ており、トータルシステムとして標準化の必要性が認識され始めています。 現在、各自治体でさまざまな取り組みがなされておりますが、今後の大規模災害時における通信手段と情報収集策をどう考えていくのかと、国の支援がある安心・安全公共コモンズの活用について、本県のお考えを危機管理監にお伺いいたします。 次に、知事メッセージの発し方についてお伺いをいたします。 東日本大震災発災より今日に至るまで、本県は、津波被害等による災害廃棄物処理についていち早く受け入れを表明し、その処理に当たり当初混乱はあったものの、避難者の受け入れについても全国一多く受け入れ、被災地へ職員の派遣やライフライン復旧への技術提供などを初め、東北の復興に向けて取り組んでおられることに改めて敬意を表するものであります。 これまで事あるごとに、知事より避難者への安心メッセージや、適切な県の対応についての情報提供等今後のあり方や方向について発信をされたことは、この先どうなるんだろうという不安感を和らげることができたものだと思います。言葉やメッセージはとても重要であります。 さて、このたびの二期目の知事退職手当支給条例の一部を改正する条例の制定について、追加議案が提出され、昨日の代表質問でもあったとおりさまざまな意見があり、それについて知事も答弁をなされました。 退職金を受け取る受け取らないは、最終的には知事がお決めになることであります。私は、これまで県民の方や報道各社には、知事の印象を聞かれた際は、「吉村知事は県民の意見や考えに耳を傾ける方であり、その姿勢は大きく評価をいたします」とその印象を述べております。この姿勢こそが吉村知事の大きな魅力の一つであろうと思います。 また、今回の追加議案提出をもって退職金を受け取らない決断に至ったことは、賢明な御決断であろうと思います。しかし、この件については、県民の声に耳を傾けるまでもなく、おのずと判断がなされるべきものであったはずです。 知事の発言は重いと考えます。相手があることや、その先に県民がどのようなことを思うのかと十分にしんしゃくし御発言すべきなのであります。加えて、県庁という組織の中でも、県民や隣県に不信感を抱かれることがないよう、情報発信には細心の注意を払うべく、組織で徹底していただくよう指摘をいたします。 その上で、今後の知事が発するメッセージのあり方やその姿勢についてお考えがありましたらお伺いをいたします。 次に、観光振興についてお伺いいたします。 初めに、観光基本条例の制定についてであります。 明年は、六回目となる山形デスティネーションキャンペーンを迎えます。単独開催としては京都、新潟に続いて多い開催ですから、いかに本県の観光素材の豊富さが大きな魅力であり、まだまだ成長が期待されるポテンシャルを秘めていることのあかしであります。先日、本県観光経済交流局からデスティネーションキャンペーンの成功に向けた「きてけろくん」のピンバッジをお預かりしたところであります。デスティネーションキャンペーンの成功を心から祈り、願う一人であります。 さて、このキャンペーンの目的は、観光事業者を初めとした民間企業・団体と県、市町村などの自治体及びJRグループが一体となって山形を大いに売り込み、観光などの集客を図ろうとするものであります。おのずと鉄道や道路を中心軸としての観光客の誘致が期待されるところであります。県内の各自治体も、各方面との連携を強化しながらおもてなしの準備を進めているところであり、それぞれの真心が努力にあらわれて、山形の貴重な財産にさらに磨きがかかり、その輝きが増すであろうと期待をいたしております。 本県の第三次総合発展計画では、地域資源を活用した観光交流の拡大等がうたわれております。山形ならではの魅力ある農業、サービス業、商工業を初め地域に住む人もその大きな観光資源となります。山形の総合力を発揮して今回のデスティネーションキャンペーンを成功させるには、人の力も肝要です。一人一人が観光の重要性を認識し、本県を訪れる人々をおもてなしの心を持って迎えてこそ、初めて交流人口の拡大が期待できるのではないでしょうか。 そこで、本県観光振興の基礎となる本年度制定予定の観光基本条例はどのような視点でつくられようとしているのかお伺いをいたします。 次に、海外誘客における広域観光の取り組みについてお伺いします。 東北の復興の象徴である東北六魂祭でありますが、その存続が危ぶまれるかのような一部報道がなされております。東北の中では多くの県外避難者を迎えている本県でこそ、その開催をすべきであると思います。今後、県有施設等の活用について山形市からの要請等があった場合、積極的な支援や利用について応援をしていただきたいと思います。 また、二〇二〇年オリンピックの東京開催が決定した場合、宮城スタジアムでのサッカー予選の試合が行われることが予定されており、本県での練習会場の提供や宿泊受け入れを行うなど、スポーツの振興とともに観光振興にも貢献できると考えますし、世界、また国際化というものを意識する中で、県内でのサッカースタジアムの設置場所やあり方等が見えてくることもあろうかと思います。 オリンピックを通し、海外からの観光客を呼び込むチャンスになり、その経済効果も大きく期待できるものと思います。こういった東北各県や隣県との広域連携の視点は、海外誘客において特に重要ではないでしょうか。 本県を訪れる海外観光客は、平成二十四年には三万三千人余りと、震災前の平成二十二年に比べ約六割の減となり、東北全体でも同様に厳しい状況になっております。観光においては、特に日本海側の県が厳しいとのお話もいただいており、早急な回復が喫緊の課題であります。 豊かな自然と歴史と温泉と食など特徴のある観光素材を大いに活用し、複数県を周遊することが一般的である海外観光客について、隣県を含め広域的な観光ルートによる誘客プロモーションが有効と考えますが、海外誘客における広域観光への取り組みについて商工労働観光部長にお伺いをいたします。 次に、今後の農地集積の方向についてお伺いします。 本県は、これまで以上に積極的に六次産業化を推進すべく、六次産業推進課を設置いたしました。平成二十四年度まで、農林水産業元気再生戦略では、農林水産業を起点とする産出額の拡大を図る取り組みを行ってきており、平成二十五年度からの新戦略では、さらに所得向上と低コスト化、生産効率の向上の視点を加え、その実効性のある取り組みに大いに期待をしております。 知事の掲げる農林水産業を起点とする産出額三千億円をさらに拡大するためには、この六次産業化への大胆な取り組みが大きな下支えになります。そのためには、農産品の加工・販売など県内各地域での知恵の結晶を見つけ、大きく育てていく作業が大切であり、その中から全国ブランドが生まれ出てほしいものと大いに期待をしております。 さて、日本の食料生産の課題は、農地の集約とその担い手の確保にあります。日本の農業は、農地十ヘクタール当たりの農業就業者数で欧米と比較すれば、日本の平均六・四人に対し、イタリア一・七人、英国〇・四人、米国〇・一人となっており、中山間地が多いイタリアは日本の農業構造に似ていますが、米作中心の日本より労働の投入量が少なく済んでいるようであります。ちなみに、本県は四・二人であります。また、本県の基幹的農業従事者数は、平成十七年と比較し平成二十二年では五千六百五十七人減少し、毎年一千百人以上が農業から離れている現状です。 我が国の農業・農村は、高齢化と後継者不足、耕作放棄地の増加など、人と農地の問題を抱えております。現在、農林水産省では、この問題解決のため、人・農地プランの策定を進めており、今後の中心となる経営体はどこか、また、その経営体に対しどうやって農地を集めるのか、そして、その経営体とそれ以外の農業者を含めた地域農業のあり方について、将来のプランをつくろうとするものであります。 本県での青年の就農意欲を喚起する積極的な取り組みである青年就農給付金も着実に効果を上げているようでありますが、さらなる施策への取り組みが必要と考えます。加えて、みずからの農地を手放すことへの抵抗感など、集積への課題もあろうかと思います。 現在、農業は、農産物の低価格化と狭い農地による経営効率化の限界により、まだまだ利益を生むことが難しい産業でありますが、今後、集落営農組織の法人化等担い手の確保を進めながら、本県農地集積の方向性はどうしていくのかを農林水産部長にお伺いいたします。 次に、サイバー犯罪についてお伺いいたします。 遠隔操作されたパソコンからの殺人予告で無実の人たちが起訴されるという新手のサイバー犯罪が起こりました。ネット社会の危うさともろさが透けて見えます。 これまで、捜査機関は、IPアドレスと呼ばれるパソコンの識別番号を被疑者の絞り込みに活用しておりました。しかし、新種のウイルスが次々と登場する中、IPアドレス頼みの捜査の限界は、多くの専門家が指摘してきたところであります。官公庁へのサイバー攻撃なども含め、手口の巧妙化をたどるサイバー犯罪のさらに上を行く捜査体制の拡充が待たれております。不審なメールのファイルは開かない、ウイルス対策ソフトの更新を忘れないなど、ネット時代を賢く生きるための知識と技術を私たちは身につけていく努力が必要であります。 また、サイバー犯罪の捜査には専門知識を持った人材が不可欠であります。現在、サイバー犯罪の捜査は基本的に都道府県警が実施し、各県警から要請があった場合に警察庁の情報技術解析課が通信記録などを調べる体制となっており、都道府県警のサイバー捜査の専門捜査員は全国で約一千百名、警察庁の情報技術解析課は約七百名の陣容ですが、コンピューターウイルスが世界中で爆発的に増殖している現在、とても対応できる数ではなく、今回の遠隔操作事件を受け、警察庁は、本年一月に「サイバー犯罪対処能力の強化等に向けた緊急プログラム」を策定し、民間事業者との連携を主要テーマに掲げております。ウイルスデータベースの構築や捜査員のIT企業への派遣など官民人事交流を行い、また、ハッカーからの協力確保も目指しております。このハッカーとは、サイトへの不正侵入をする者という意味ではなく、コンピューターの高度な知識と技術を持つ者との意味であり、さきの緊急プログラムの着実な実施が求められます。 そこで、本県でのサイバー犯罪対策への考え方とあわせ、民間の知識を活用し、今現在、きょう現在最高レベルでの備えができているのか、また、サイバー空間における県民の安全確保に対する取り組み状況等について警察本部長にお伺いし、私の壇上での質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(鈴木正法議員) 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 議員から私に、知事メッセージの発し方について御質問をいただきましたので、お答えいたします。 私は、私の県政運営の原点であります心の通う温かい県政の推進という基本姿勢に立ち、対話の県政に努めながら、活力あふれる山形県づくりを進めてまいりたいと考えております。そのためには、県民の皆様から理解していただく、そして参画していただくということが極めて重要でありますので、若者から長寿の方まで、幅広い県民の皆様に対し、県のビジョンや施策を丁寧にわかりやすく伝えることが必要だと考えております。そして、そうすることが県民の皆様に対してしっかりと説明責任を果たしていくことにつながっていくものと考えております。 このようなことから、職員に対しましては、県民視点、現場主義、対話重視、この三点を基本的な意識・姿勢として業務に取り組むよう改めて徹底してまいりたいと思います。 私としましても、今後とも初心を忘れることなく、施策展開のさまざまな場面で県民の皆様や市町村との対話を進め、現場で起きている事柄を正面から捉え、危機感を持って、県民の皆様の思いを受けとめながら、その考え方を丁寧にお伝えしてまいる所存でございます。 ○議長(鈴木正法議員) 深澤総務部長。 ◎総務部長(深澤良光君) 私には、公文書管理のあり方について御質問をいただきました。 歴史資料として価値を有する公文書は、県政における重要施策の意思決定過程や、県民の日常生活、産業活動などの社会経済情勢の変遷を知る上で重要な記録となるものであります。このため、本県におきましても、保存期間が満了した公文書の中から歴史的価値を有するものを選定し、将来的な県民の利用も想定しつつ、引き続き保管を行い、散逸の防止を図ってきたところでございます。 議員御指摘の公文書館でありますが、県民共有の財産である歴史資料としての公文書などを収集・保存することに加えまして、県民の利用にも供するなど、それらの活用を図ることによって、過去の政策決定過程の検証を踏まえたより効果的な政策の企画立案に資するとともに、将来にわたり行政の説明責任を果たしながら、地域の歴史を後世に伝えていく役割を担うものと認識しております。 本県におきましては、いまだ公文書館の設置には至っていないものの、公文書館が持つ機能の重要性を踏まえまして、その機能を確保し、歴史資料として重要な公文書の収集・保存にとどまらず、それらの活用を図っていく必要があると考えているところでありますけれども、これまで保管してきた公文書を県民の利用に供していくためには、貴重な公文書を長期にわたり適切に保存し、閲覧に供するための施設や設備等の確保、さらには、それぞれの公文書ごとに個人情報など閲覧に適さない部分をあらかじめ精査するなどの作業が必要となっております。 このため、現在、こうした県民の利用に向けました課題の抽出を行いつつ、公文書を管理する機能のあり方やそのための体制整備の方向性を整理するとともに、公文書の選定過程の精査や閲覧制限に関する基準などの検討を行うなど、歴史資料である公文書の活用を具体化していくための検討を進めているところであります。 引き続き、関係部局等とも連携しながら、既存施設の有効活用も視野に入れるなど、整備に係る経費の節減を図りつつ、本県にふさわしい、歴史的な価値を有する公文書の収集・保存・活用の仕組みづくりにつきまして検討を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 加藤危機管理監。 ◎危機管理監(加藤祐悦君) 安心・安全公共コモンズの活用についてお答えいたします。 災害発生時には、人的被害や建物被害の情報、道路の通行規制情報、ガスや水道、電気等のライフラインの被災情報それと復旧情報、避難者や避難所の情報など、多様な情報を県民の皆様にきめ細かく伝達する必要がございます。そのため、本県では、被災状況を初めとする災害情報の収集につきましては、県防災行政無線網を利用して被災市町村や消防機関などから被害情報を随時収集・集約する防災情報システムを構築しております。また、これとあわせて、電話やファクス、電子メールなどにより災害情報の収集・確認を行うことといたしております。 こうした情報により収集・集約した災害情報につきましては、市町村の広報媒体や報道機関を通して県民の皆様に伝達するとともに、県ホームページでも随時情報発信をいたしております。 公共情報コモンズは、専用回線を使い、地方自治体などがマルチメディア振興センターが設置するシステムへさまざまな情報を統一のデータ形式により送信し、この情報を報道機関や通信事業者などが任意に提供を受けて情報発信するものでありまして、地方自治体などの情報発信者と報道機関などの情報伝達者の双方が利用に参画することを前提といたしております。 東日本大震災のような大規模災害を想定いたしますと、災害情報の収集手段といたしましては、災害に強い無線通信網を利用することが有効であると考えております。本県では、現在、設備の老朽化などから県防災行政無線網の再整備の検討を進めております。今後、この検討にあわせ、公共情報コモンズの活用も含め、大規模災害時におけるより効率的・効果的な情報収集・伝達方策について十分検討してまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 大泉健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(大泉享子君) 人口減少社会における支え合い社会づくりについてお答えいたします。 近年、少子高齢化や価値観の多様化が進み、地域や家庭が持っていた助け合いの機能が低下する一方で、高齢者世帯や単身世帯の増加によりまして、手助けを必要とする人がふえており、支え合い社会づくりが一層大切になるものと認識しております。 議員からは、支え合う社会をつくる条例の御紹介もありましたが、県では、ことし三月、今後五年間の地域福祉推進の方向性を定めた第三期山形県地域福祉推進計画を策定しまして、「支え合い、つながり、安心して暮らせる地域づくり」を目標に、「地域福祉サービスの基盤づくり」、「県民が安心して暮らせる地域づくり」、これらを支えるための「地域福祉を担う人材の育成」の三つを基本方針といたしまして、支え合い社会づくりの実現に向けた取り組みを進めているところでございます。 また、計画の推進に当たりましては、市町村・県・民間の役割を明確にし、それぞれが主体的に取り組みを進めることとしております。具体的には、市町村が地域住民のニーズに即したきめ細かいサービスの提供を行い、県は市町村の取り組みを支援するほか、広域的・専門的な観点から事業を実施していくこととし、民間におきましては、県民や事業者が自発的に活動に参加して、公的サービスでは対応困難なニーズに対応していくこととしております。 このようなそれぞれの役割に応じて、「地域福祉サービスの基盤づくり」としましては、市町村社会福祉協議会の相談体制の強化や要援護者への日常生活の支援などを実施してまいります。また、「県民が安心して暮らせる地域づくり」としましては、孤立防止や生活支援などの地域助け合いサービスを提供するNPOへの支援や民間事業者による見守り活動のさらなる推進などを図ってまいります。さらに、「地域福祉を担う人材の育成」を進めるため、福祉教育の推進やボランティア活動の振興などに取り組んでまいります。 今後とも、市町村・民間事業者等多様な主体との協働によりまして、困ったときはお互いさまの精神のもと、県民誰もが支え合いの担い手となり、受け手となれる地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 長谷川商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(長谷川潔美君) 私には、観光振興について二問御質問いただきました。 初めに、観光基本条例の制定についてお答え申し上げます。 人口減少社会において、活力に満ちた地域社会を実現するためには、交流人口を拡大する取り組みが重要であります。 県では、山形デスティネーションキャンペーンを初め大型のキャンペーンやイベントを連続して迎えようとするこの機を捉えまして、県を挙げて観光立県に取り組むための条例を制定することとしております。 この条例では、県民が自然、歴史、文化、景観、食、温泉などなどの山形のよさを認識、再確認することにより、郷土愛を育み、自信と誇りを持って山形の魅力を発信するとともに、訪れる方をおもてなしの心を持って温かくお迎えすること、そして県や事業者、県民などの総参加による、住んでよし、訪れてよしの地域づくりを進めていくことを基本的な視点として考えております。 今後、観光事業審議会等の御意見をいただきながら条例案の検討を行い、今年度中に提案し、観光立県山形の実現を目指してまいりたいと考えております。 次に、海外誘客における広域観光の取り組みについてお答え申し上げます。 海外からの観光客は、県境を意識せず複数の都道府県にまたがって周遊することから、誘客に当たっては、他県との連携による広域的な取り組みが有効であると考えております。 県では、これまで、東北六県と新潟県及び仙台市の官民により構成されました東北観光推進機構や隣接県等と連携し、青森県から新潟県の日本海沿岸をめぐる北前ルートや、各県の夏祭りをめぐるモデルコースなど、テーマ性やストーリー性を持つ、県境を越えた広域観光周遊ルートを設定いたしましたり、山形、秋田両県知事が合同で台湾においてトップセールスを行うなど、積極的にプロモーションを展開してきております。 また、東日本大震災後は、風評被害により落ち込みました海外観光客の回復に向けまして、国や日本観光振興協会などさまざまな関係機関と連携いたしまして、正確な安全情報の発信などに取り組んでまいりました。しかし、旅行者の放射能に対する懸念は根強く、本県を含む東北地方への外国人観光客数は、震災前の水準には戻っていない現状にあります。風評被害の払拭に向けまして、引き続き関係機関とともにフェイスブック等を活用した母国語による情報発信や、各国の学識者による安全メッセージの発信などによる取り組みを強化してまいります。 また、広域観光プロモーションに当たっては、これまでの東北の枠を超えた新たな連携に発展させていくことも大変有効であると考えてございます。海外からの観光客受け入れが好調であります北海道などとの連携を行ってまいります。 さらに、観光客の回復・拡大のためには、新たな市場の開拓も必要と考えております。今後、有望な市場でありますタイ、シンガポール、マレーシアなどASEAN諸国からの誘客を拡大するため、ことし七月からシンガポールに県職員を配置し、東北観光推進機構が出展する各国の旅行博覧会等において映画「おしん」の情報提供を行うなど、本県を含む広域観光ルートの積極的なPRに努めてまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 若松農林水産部長。 ◎農林水産部長(若松正俊君) 私からは、今後の農地集積の方向性についてお答えいたします。 本県の農業生産法人を含む認定農業者や集落営農組織などいわゆる担い手への農地集積率は、平成二十四年三月現在で六二%となっており、平成十九年の五三%と比べ九ポイント上昇しております。これは、平成二十年の水田経営所得安定対策の導入により集落営農組織が各地にできたことに加え、JA等の円滑化団体による農地の貸借あっせんや、やまがた農業支援センターが各地域に駐在員四名を配置し、その取り組みを強化したことなどによるものであります。 平成二十四年度からは、担い手の確保や農地の集積などを盛り込みました人・農地プランの作成を始めております。現時点で予定地域の約七割に当たる五百十四地域で作成されておりまして、今後、計画的な農地集積が期待されるところであります。これに呼応して、中心的な経営体に農地を貸した方に交付されます農地集積協力金、これも約四百ヘクタールの実績見込みとなっております。 一方、農地集積をさらに進めるためには、離農者の農地の受け皿となる担い手の確保が追いつかないといったような状況にあるほか、農家の方には農地を手放すことに対する抵抗感が非常に強いことや、耕作放棄地等は敬遠されるといったような、本県も含め生産現場における全国的な課題となっております。 こうしたことから、国では、成長戦略におきまして、担い手の農地利用を全農地の八割まで高める農業構造の改革を目標に掲げ、新たに農地集積の中間受け皿となる農地中間管理機構を各都道府県に設置することを盛り込んだところであります。そこでは、高齢化等で耕作できない方などの農地を借り上げ、必要に応じ基盤整備を実施した上で担い手に貸し付けていくと、こういうような農地再配分スキームを確立していくこととなっております。 県といたしましては、これまでの農地集積や基盤整備等の関連施策、こういった既存施策との整合性や新たな機構の具体的な組織体制そしてその機能など、こういったものについて現時点で詳細を把握することはできませんが、今後、こうした機構の現場での対応が十分可能なのかどうか、そういった点もしっかりと検討しながら、担い手の育成確保とあわせ、地域実情に合った農地集積を加速化してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 世取山警察本部長。 ◎警察本部長(世取山茂君) サイバー犯罪対策についてお答え申し上げます。 インターネットバンキングに係る不正アクセスなどのサイバー犯罪や標的型メール攻撃などのサイバー攻撃の被害は年々深刻化しており、サイバー空間の安全確保は喫緊の課題となっております。 警察では、サイバー犯罪・サイバー攻撃に対処するため、捜査体制の整備、対処能力の向上及び装備資器材の整備に努めているところでございます。 まず、捜査体制につきましては、警察本部に設置された十二名のサイバー犯罪対策室が中心となりまして、警察庁東北管区警察局山形県情報通信部に協力を求めながら、サイバー犯罪の捜査に当たっているところでございます。 また、対処能力の向上につきましては、専門の捜査員の能力向上と全警察官の能力底上げが課題となっておりまして、専門の捜査員については、部内研修のほか、この分野で高度の知見を有する民間事業者による研修を受講させているところでございます。全警察官の能力底上げについては、本年から、部内のサイバー犯罪捜査検定の受検を全警察官に義務づけ、五月末の時点で二二・八%が初級検定に合格しているところでございます。 以上の取り組みの成果といたしまして、昨年は、サイバー犯罪の被疑者三十二名を検挙し、本年も、五月末までに、他人の著作物である音楽作品をファイル共有ソフトを利用して公衆送信できる状態にした著作権法違反事件被疑者を含む十一名を検挙しているところでございます。 また、被害を回復し、犯罪収益を剥奪するため、本年は、五月末までに、ワンクリック架空請求詐欺など犯罪に利用された八十口座の凍結を金融機関に求め、総額一千三百万円を超える口座残金を保全したところでございます。 さらに、新たな被害を予防するため、本年は、五月末までに、詐欺・悪質商法に利用されたサイトなどインターネット上の違法情報十一件の削除をサーバー管理者に求めたところでございます。 なお、第二十三回参議院議員通常選挙からネット上の選挙運動が一部解禁されることになったことから、県警ウエブサイトに違反情報通報窓口を設け、県民に違反情報の提供を呼びかけているところでございます。 結論といたしまして、サイバー犯罪に対し最高レベルの備えを県警単独で実施することは困難な面もございますけれども、今後とも、警察庁や民間事業者に協力を求めつつ、必要な体制確保、職員の能力向上、装備資器材の整備を図り、サイバー犯罪に適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(鈴木正法議員) 四番菊池文昭議員。 ◆4番(菊池文昭議員) それぞれの質問項目につきまして御丁寧に答弁をいただいたものと思っております。 吉村知事は、えとがうさぎ年と聞いておりまして、実は私もうさぎ年なんです。うさぎ年の人は優しいというのはよく言われておりまして、私の質問も優しかったのかなと思っているところでございます。今後、あらゆる形で県勢発展のためにまた質問してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(鈴木正法議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時十分 休憩     午後一時零分 開議 ○議長(鈴木正法議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 七番小松伸也議員。 ◆7番(小松伸也議員) 自由民主党小松伸也です。よろしくお願いを申し上げます。 「人は信念とともに若く、疑惑とともに老いる。人は自信とともに若く、恐怖とともに朽ちる。青年は希望とともに若く、失望とともに朽ち果てる」。この格言は、ドイツ生まれの詩人サミュエル・ウルマンのものであります。私も五十を過ぎてこの言葉が身にしみるようになっております。この中の「人」という言葉を「社会」に置きかえても意味が通じるように思います。「社会は自信とともに若く、恐怖とともに老いる。社会は希望とともに若く、失望とともに朽ち果てる」。自信と希望を持つ限り、その社会は永遠に若いということが言えるのかもしれません。 私たちが議論の中で生み出すべきものは何であるのかを心に踏まえ、このたびこの機会をいただきましたことに心から感謝を申し上げ、通告に従って質問をさせていただきます。 初めに農林水産業の振興について。 まず、本県における農業振興の基本的な考え方についてお聞きします。 ことしは四月の名残雪を何度見たでしょうか。とても長く厳しい冬でした。一転して今は、待ちわびた春を飛び越して一気に酷暑の夏へ突入しているような天候が訪れています。おかげさまで、豪雪と四月の天候不順の影響で大変おくれていた最上地域の農作業も、六月の初旬にはようやく一通り田植えが終わり、秋の豊作を願ってさなぶりがあちらこちらで開催されていました。かつては個々の家でそれぞれに行われていた行事ですが、地域行事として開催されるところがふえてきており、時代の変化に伴ってそのありようも変化しつつあることを感じます。 田植えが終わった水田の風景は、青い空と残雪の山々の風景を反射して鏡のように美しく、ふるさとのいつもの風景をつくり出しています。しかし、ことしはそのいつもの風景に変化のある場所がありました。田起こしは早く終わっていたのに、いまだにそのままになっている水田があったのです。わけを聞くと、代かきのために水を引こうとしたところ水利施設のポンプが壊れてしまったのだそうです。「準備はしてきたが、ことしは作付を諦めるしかない」、そう言いながら肩を落とす落胆の表情が心に残りました。このポンプは受益者数が少数であり、また、地区における後継者もおらず、将来の展望がなかなか見出せないことから、お金をかけてまでこの老朽化したポンプを更新する気持ちになれないとのことでした。 このように、本県の農村地域においては、高齢化の進行による農業の担い手不足、経営規模拡大の難しさ等、農業の抱える諸課題が山積しており、中でも、特に急勾配な地形など条件の不利な山手の中山間地域では、これらの課題が顕著となってきております。 私は、本県の農地の多くを占めるこの中山間地域の農業の振興なくして本県の農業の振興はあり得ないのではないかと考えております。そこで、これらの地域への対応を含め、今後どのようにして本県全体としての農業の振興を図っていくのか、基本的な考え方について知事に伺います。 続いて、最上地域における農業生産基盤の整備促進について伺います。 農業振興にとって基盤整備は重要なものであると認識しておりますが、県内全般を俯瞰してみれば、農地の状況はさまざまであります。平地においては圃場整備が進み、平成二十三年度において区画が三十アール以上の圃場整備率は七三・四%となっており、全国平均の六二・九%を上回り全国第七位となっております。しかしながら、四地域別整備率に注目すると、最高の庄内地域が八九・二%、最低の最上地域が五三・七%となっており、約三六ポイントの大きな差ができています。また、最上地域の中においても市町村ごとに事情が異なり、最も整備の進んでいないところでは一二・七%の整備率にとどまっており、県平均と比べると六一ポイントもの大きな差ができています。 最上地域における農業生産基盤の整備については、今申し上げたとおり、これまで諸事情により整備が進んでいなかったところですが、ここに来て、地域における意識の変化が見られるようになってきました。現時点での農業経営だけを守るのではなく、十年先の地域の農業を見据え、自分たちの財産としての農地を守り、次の時代につないでいこうという機運が高まってきています。さなぶりが地域の中で合同開催されるようになってきたことも、それらの高まりを示しています。 県が掲げる豊かな地域を支える競争力の高い農林水産業の振興を図ることは、みんなが願うところであります。今こそ、人と農地と水を守るため基盤整備事業を一層進めることが必要です。 農地という県民の財産を守り、次の時代につないでいくために、本県における基盤整備事業、とりわけ中山間地域に点在する小規模なものを含め未整備地域の基盤整備事業をどのように推進していくのか、また、整備のおくれている最上地域の基盤整備事業についてどのような考え方で推進していくのか、農林水産部長に伺います。 続いて、産地化の展開について伺います。 かつて、雪国にとって冬は農業生産が停止する季節でした。二メートルにも及ぶ雪に道路も農地も埋もれて、収穫した野菜を漬物にし保存食として、フキノトウが雪解けの春を待つかのごとく過ごしていたとのことでした。一九六〇年代、高度成長期での首都圏の労働力需要を機に出稼ぎが始まり、冬は都会で稼げる時代が到来しました。しかし、家族との長期の別居はつらいことから、冬でも可能な通年農業への思いが、キノコ生産や山菜の促成栽培などさまざまな取り組みを試行錯誤の中で生み出してきました。その後、公共事業が受け皿となって、冬でも地元で働ける時代がしばらく続きましたが、近年、建設業や弱電企業などの停滞により再び兼業の職場を失う中で、新たに園芸農業に取り組む動きができ上がってきました。 そうした中で、平成二十一年度に打ち出された農林水産業元気再生戦略は、大変タイムリーなものになりました。農林水産業を起点とした産出額三千億円を目標に掲げ、その実現のための各種施策については大変ありがたいと評価する声をたくさんの生産者から聞くことができました。おかげさまで、最上地域の園芸作物の生産額は右肩上がりの成長を続けてきています。目標達成の最終年度を迎え、生産額の数字が気になりますが、恐らくおおよそ達成されているのではないでしょうか。 この取り組みは、結果の数字もさることながら、目標を達成するためのプロセスにおいてどのような施策を打ち出したかにこそ意味があったのだと実感しております。そして、いよいよ次のステップは、生産額の向上を農業者所得の向上につなげられるかどうかにあります。国の農業所得向上のための政策とあわせて、県の施策の力強い実行が期待されます。 国内において人口が減少局面を迎え、需要の伸びが停滞している中においても、多くの県が生産拡大と品質の向上に力を入れ、生産される作物が均一化してきたため、供給とのバランスが不安定になってきています。市場での価格の乱高下は農業経営に大きな打撃を与える結果となっています。 最上地域においては、これまで、ニラやアスパラ、ネギなどの生産を積極的に展開してきており、本県を代表する産地を形成しています。物はつくっても販売は大変であることから、農協が集出荷施設を整備し、ロットと品質をそろえ、主要卸売とも調整しながら出荷されています。このような産地づくりは、まさに本県農業の産出額を拡大し、産地の農家の所得向上にもつながっているものと評価しています。卸売市場とも密接に連携した販売について、今後も積極的に展開すべきものと考えており、県としても連携協力が重要です。 一方で、必要とされている産品を必要としているところに必要な量生産するマーケットイン手法の農業生産で成功している千葉県の和郷園のような取り組みで、独自の販路を開拓し生産と販売を手がけるグループも出てきています。多種多様な市場へのアプローチが生み出されることが、結局全体としての有利販売や所得向上につながるのではないでしょうか。よって、市場の動向と現状把握は、県として政策的に今後何を押し進めるべきかを判断することが大変重要なことだと考えます。生産現場だけでなく、マーケットインを意識した施策の策定が必要ではないでしょうか。 現在、県として、多様な市場での調査や働きかけなどどのような研究、対応を行っているのか、農林水産部長に伺います。 昨年四月に築地の青果市場を視察調査させていただきました。震災被災地での生産が滞っているため栽培協力してほしい品種があることや、山形県の山菜の優位性などいろいろな話を聞いてまいりました。また、市場そのものに変化が生まれてきていて、取引のほとんどが契約によるもので、競りにかけるのはごく一部であるとのことでありました。 興味深いのは、取引のうちごく数%だけは、少量の魅力ある産品に対して値決め販売をしているということでした。市場の中の開発部が担当し、希少で魅力ある産品を発掘し、料亭やレストランに直接売り込んでいるとのことでありました。例えば、以前話題となった京野菜、その後に加賀野菜などがあります。戦略的に販売しているということでした。その開発部では、次の売り込み候補として江戸野菜に注目しているとのことでした。また同時に、現在、その江戸野菜の次なるターゲットを探しているので、対象として思い当たるものがあればぜひ現物を見せてほしいとのことでした。 このような取り組みに象徴されるように、市場流通の中でも、量にかかわらず個性豊かなストーリー性あふれる地域農産物への注目は着実に高まっており、そうした多様化するニーズを的確に捉えていくことが必要ではないでしょうか。 本県は、在来作物の宝庫とも言われ、各地に伝統野菜があります。こうした例外での取り扱いの対象になり得るのではと可能性を感じます。山形の伝統野菜として本県一本で売り出すのがいいのか、地域ごとの特性を重視してブランディングして売り出すのがいいのか、その販売戦略を検討していく必要があります。例えば、伝統野菜では抽象的で具体的なイメージが伝わらないので、商標の工夫をして市場が興味を示す品目から先行させてはどうでしょう。こうした価格形成を可能とする取り組みが期待されます。 また、生産量が少ないため流通経費が高くなってしまうことから、多品種をグループ化して量をまとめる工夫や、生産者と消費者現場とのコミュニケーションの中から信頼を育み、おいしい、ぜひ使いたい、そんなふうに思ってもらうための食ツーリズムの開催、地元県民が食生活の中で伝統野菜のよさに触れられる環境づくりや、どう食べたらおいしいかをまとめたレシピ集の出版等、プロモーションを含めて県の具体的な取り組みが大いに期待されています。 ある食品フェアでは、漆野いんげんのタルトが一時間で三百個完売しました。山形新幹線の「トランヴェール」六月号では勘次郎胡瓜のジュレが特集されています。伝承野菜が持つ魅力は首都圏でも通用するものだと感じています。 そこで、価格形成への主導権を保てる販売戦略の展開を初め、伝統野菜の振興に向けてどのような取り組みを進めていくおつもりなのか、農林水産部長に伺います。 続いて、農産物の機能性成分の活用について伺います。 安倍内閣の成長戦略「日本再興戦略」が閣議決定されました。その内容に対し不十分であるとの声もありましたが、その中に多くの新たなビジネスチャンスを見つけ出した人はたくさんいたのだと確信しています。 特に私が注目したのは、「食の有する健康増進機能の活用」として、いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物の機能性表示について今年度中に検討を開始し、来年度中に結論を得た上で実施するとされた点であります。しかも、農産物の海外展開も視野に、諸外国よりも消費者にわかりやすい機能表示を促す仕組みを検討するとのことでした。このことは、農業界において新たな市場が生み出されることを意味すると言っても過言ではありません。大きなチャンスが提供されたのです。 日々健康で生活し続けることは、誰もが持つ願いであります。有名なタニタ食堂が健康を求めるサラリーマンの中でブームになり、新たなビジネスになりました。家庭においてもそのレシピ本がベストセラーになるように、健康を維持するための欲求は高まる一方であります。こうした傾向は海外でも同じで、アメリカやEU諸国等の先進国を中心に多くの潜在的ニーズがあると考えられています。これまで想像もしなかった健康長寿ビジネスが民間主導で生まれつつあります。 機能性農産物は早くから注目されていて、企業や研究機関で開発が進んでいます。例えば、抗酸化作用が高い高リコペントマトの「にたきこま」や高ケルセチンタマネギの「クェルリッチ」、低グルテリン米の「ゆめかなえ」や高メチル化カテキン茶の「べにふうき」など、多くの品目と品種に及びます。その取り組みは、北海道、新潟県、静岡県など幾つかの道県で既に進んでいます。 ある機関で実施されたインターネットによる機能成分高含有農産物の認知及び摂取意向消費者調査によると、「何となく」を含めて、その存在を知っている人は六〇%もいました。どんな形で食べたいかについては、青果でとりたいと思っている人が三六・六%、青果でも加工品でもとりたい人を合わせると八六・八%にも及びます。人気ベストファイブは、高リコペントマト、高ベータ‐クリプトキサンチンミカン、高ビタミンホウレンソウ、高アントシアニン紫サツマイモ、高セサミンゴマとなっています。この調査から、消費者の機能成分高含有農作物の摂取希望は極めて高く、摂取を希望する人は、栄養成分や機能成分の高さに魅力を感じている人が多いことがわかります。 海外においても、アメリカとイギリスでの意識調査では、抗酸化力の高い食品に魅力を感じている人が何と七〇%を超えていて、それらの成分表示を希望する人が七五%を超えています。ただし、国内外とも、摂取をしたくないという人は、機能性成分の安全性に対する不安や成分含有量に対する疑心を持っているようであります。だからこそ、高品質な農産物、詳細なトレーサビリティー、安全安心ブランドという日本農業の持つ信頼性が機能性農産物分野で国内外の市場をリードしていく可能性を感じずにはいられません。何よりも、長寿命の健康大国である日本が持つ説得力は、大きな力となって後押しをしてくれるはずであります。 北海道では、既に平成二十二年から道産農産物の付加価値向上に向けた機能性等の活用について検討会が始まっています。平成二十三年三月に、生産者、食品事業者への情報提供の推進や消費者への情報提供の推進、販売店における店頭表示の促進等、当面の取り組みの方向性が示されています。 そこで、山形県の農産物の機能性成分の活用に向けた研究はどのように行われているのでしょうか、また、この分野における成長可能性をどのように評価し、今後どのように取り組んでいかれるのか、農林水産部長に伺います。 次に、SNSを利用した情報発信について伺います。 まず、災害時におけるSNSの活用についてです。 小学校の地区陸上大会の朝、雷が鳴る雨模様の空を見ながらきょうの弁当どうしたものかと思案している私の家内の携帯に一斉メールが入りました。雷雲が停滞するため大会が中止との連絡でありました。 PTAの連絡は、つい数年前までは、電話連絡網という表を整えてリレー方式で電話したものでありました。今は、マ・メールというソーシャル・ネットワーキング・サービス、いわゆるSNSに父兄が登録することにより、学校からの情報を一斉に受けることができます。紙と時間と手間を省き、正確に、瞬時に人と人をつないでくれるこのシステムは、多くの学校関係機関でも使われているようであり、身近なところでSNSの利用が定着してきていることを感じます。 震災時に、都心においては交通機関が麻痺し、電話や携帯電話がつながりにくくなり、大勢の大移動が一斉に起こり、混乱が起こりました。帰宅難民者があふれ出す中で、東京都は、ホームページから避難場所の情報を伝える方法をとりましたが、NHKから「東京都のホームページから避難場所の情報を確認してください」とアナウンスが始まりますと、東京都のホームページにアクセスが集中しまして避難場所情報が確認できなくなったそうであります。しかし、このホームページがパンクした後もツイッターが生きていて、ツイッターで情報をつぶやき、一時収容施設の一覧をアップした当時の副知事のブログに誘導し、都庁のホームページのバイパスをつくったとのことでした。ツイッターはフェイスブックとも連動していますし、誰もが情報を求めていた状況ですので、情報伝達のスピードは尋常でなく、恐らく百万単位の人に届いたと言われています。これがSNSの威力です。 当時副知事だった猪瀬氏は、当時の経験から、「危険管理はふだんの行動の延長線上にある。同じことはネットワークやツールについても言える。非常時専用のサービスは安否確認の切り札であるが、そのときにならないと使えないため使い方がわからず、かえって利用しにくいという面がある。いざというときに役に立つのは、ふだんから使いなれたものである」と言っています。 内閣府の帰宅困難者対策の実態調査によると、首都圏で家族との安否確認の手段として災害用伝言ダイヤルを利用した人は、携帯各社のサービスも含めて五・八%にとどまりました。 先日、東京都を訪ねて、総務局総合防災部の方からお話をお聞きしました。SNSは、情報収集と伝達の容易さや即時性、そしてユーザーからの情報投稿等、既存の情報発信手段と情報媒体がカバーし切れない部分を補完するものとして大変注目をしているとのことです。複数のサービスを組み合わせて連携して、帰宅困難者対策を含め、災害時には防災情報を広く受発信するツールとして体制を構築しているとのことでありました。 一方で、災害時に防災情報を流す手順や緊急的なコメント等への具体的な対応方法には課題があり、運営担当者と防災情報発信各課との協議と連携で対応手順を定めることも必要になります。 本県にとっても、災害時の情報インフラの一つとして県民に有益なものになるようSNSの利用が期待されるところであります。国においては、「IT防災ライフライン構築のための基本方針及びアクションプラン」が取りまとめられております。本県の危機管理分野での現在の取り組みの状況と今後の活用について危機管理監に伺います。 続いて、広報活動におけるSNSの活用について伺います。 SNSは、従来の情報伝達手段と違い、受信者同士が情報交換を行うなど双方向の交流が可能です。また、ホームページのように自分で情報をとりにいくのではなく、利用しているSNSに自動的に情報が飛び込んでくるため、受信者としては情報の取得が容易になります。さらには、共感した情報がその友人等に瞬時に拡散するという性質を持っており、短時間で広範囲に情報が伝達されます。 SNSの利用経験者は、若年層で六四%と活発に利用されていると考えられ、昨今では導入する自治体がふえてきており、ユーザーと企業や自治体をつなぐコミュニティーとしての活用が広がっています。全国で多くの自治体が開設しており、その数は今や五百弱に及んでいます。山形県では、県広報室や酒田市等が情報発信のためにフェイスブックの公式ページを開設しています。中でも、「いいね!」が二万三千人を超える福島県では、担当者が顔見せしたり、ゆるキャラを登場させたり、かたくなく身近に感じられる工夫がなされていて、告知や自治体のホームページに誘導するだけにとどまらず、いかに共感を得ていくかの工夫が施されています。 「いいね!」が約二十七万人のサンフランシスコ市では、行政手続の問い合わせや道路補修、清掃等の受け付けを行う行政総合窓口機能「SF311」を設置しています。また、カナダのレジャイナ市では、市の中長期計画の策定の際に、フェイスブックのディスカッション機能を用いてアンケート調査を実施しています。 次の参院選からはネット選挙が解禁となりますが、これもIT時代に対応した大きな改革の一つです。「日本はITの潜在的な能力を生かし切れていない。それらの持つ可能性を存分に引き出さなければならない」と安倍総理が言っていましたが、全く同感であります。 外国に向けての観光や物産の発信や、各市町村でも開設いただくことで可能になる連携した取り組み、県のシステムから可能な機能移行による関連システムの運用管理経費の削減、県民意識や各種情報の収集など、県にとってもさらなる有効利用の可能性は大きく残されていると思います。この分野では、雪や立地や交通インフラのハンデは関係ありません。今ならまだ知恵と意欲次第で日本一を狙えるはずであります。 そうしたさまざまな活用方法が考えられる中、現在、山形県では、広報の分野でフェイスブックやツイッターを活用しています。山形県のフェイスブックのページは、更新のタイミングもよく、写真が多様され、大変見やすい内容だと感じています。ページへの共感を示す指標として「いいね!」の数が参考になりますが、山形県の一千九百人程度は、まあ健闘しているほうだというふうに思います。しかし、まだまだ伸び代があると感じております。 そこで、山形県の広報活動において、SNSの有効性をどのように評価し、今後SNSをどのように活用していくのか、総務部長に伺います。 最後に、技能者育成の取り組みについて、商工労働観光部長に二点伺います。 昨年十二月、平成二十八年度に開催される技能五輪全国大会と全国アビリンピックの山形県開催が決定いたしました。現在は物づくり現場にかかわっていない私であっても、五輪という言葉の響きは心を揺さぶるものがあります。 技能五輪全国大会の目的の一つは、青年に対して技能者としての努力目標を与えること、もう一つは、大会開催地の若者に対してすぐれた技能に触れる機会を提供することにより技能の重要性、必要性をアピールし、技能尊重の機運の醸成を図ることとのことでありました。 ものづくり県・山形を自負する私たちの県は、その振興施策の中で人づくりに力を入れており、大会の目的を達成することは県政の方向性と一致することから、有意義な大会にするために力を注いでいかなくてはなりません。しかし、単に滞りなく大会を運営するだけでは、目標達成には至りません。山形県のこの大会への参加人数はこれまで十人程度で推移していましたが、開催県であることから百人程度を目指すとの目標を設定しているとのことでした。大会開催までのプロセスの中で、いかに技能者を育成するかがまずは第一の課題となります。 通常の十倍以上の選手を養成するには相当の対策が必要と思われますが、今年度、選手の発掘、育成強化のための施策が講じられている内容は、これまで開催された他県の強化プロセスと比べて十分な状況になっているでしょうか。 第二に、技能を尊重する機運の醸成を図るためには、選手や当事者以外の県民がこの大会にどのようにかかわることができるのか、その仕組みづくりが重要になります。次世代を担う子供たちに、企業博物館等の展示や大会会場の見学を通して技能・技術への関心を高め、その大切さを実感してもらうスタンプラリー等の企画や、技能五輪訓練施設の見学ツアー、大会の概要や競技等をわかりやすくした図書の制作、企業とのタイアップでキャラクター商品によるPRや技能五輪全国大会見学の産業観光ツアーの企画を行うなど、神奈川県での取り組みなどは大変参考になります。 今後、平成二十八年度の開催年度までの本県の企画と実行プランはどのようになっているでしょうか。 第三に、大会を招致するためのプレゼンテーションにおいて、本大会を東北の一員である山形で開催することの意義や選手の育成強化による東北全体のものづくりの復興のアピール、山形大会を契機とした若い技能者のレベルアップや高い技術の将来への維持継承など、大会を通して本県及び東北各県の産業基盤の強化を目指すことを訴えてきたとのことでありました。 東北全体のものづくりの復興をどのようにアピールし、それをあらわす大会の中での仕掛けづくりをどのように行うのでしょうか。 大会の成功をなし遂げるために不可欠である以上三点について、商工労働観光部長に伺います。 かつては、徒弟制度の中で、さまざまな業種の職人と呼ばれる技能者が育成されてきました。 私の母は床屋の師匠で、三十年ぐらい前までは常時三人のお弟子さんが住み込みで修行していました。修行中は、生活の中の制限や厳しさなど、よくお弟子さんから愚痴を聞かされたものでした。しかし、お弟子さんがひとり立ちして店を持つと、修行を経験したことへの感謝の気持ちを私に話してくれました。 一流の職人への初めの一歩は技術より人間性と信じる中で、一日中時間をともにし、礼儀、感謝、尊敬の気持ちを持つ職人に育てるべく、多くの師匠が厳しい指導を行う中で、かつての職人はその技術をつないできました。時代の流れの中で伝統的な徒弟制度が姿を消した今、弟子をとらない職人がふえてきました。先日、ある棟梁に話を聞いたところ、仕事もできない見習いの段階から給料を払い、投資して苦労して育てても、一人前になるとすぐ条件のいいところへ移ってしまい、見習い時代の投資分が回収できないとのことでした。 先日伺った東京の葛飾区では、技能者の後継者育成のための対策として、伝統工芸職人弟子入り支援事業を施行しています。これは、第一次ステップとしては、仮弟子入りの講習期間として三カ月間、親方と弟子合計で月十四万円を限度に支給します。その後、継続するか判断を行い、正式弟子入りとしての養成期間である第二ステップでは、六カ月間、親方と弟子合計で月十九万円を限度に支給します。その後は、また継続の判断をした上で、一人前の職人として自立に向けた修行期間である第三ステップに入りますが、十五カ月間、親方と弟子合計で月十七万円を限度に支給します。第三ステップを終了して引き続き弟子として指導を受ける場合には、国の補助金を活用し、葛飾区伝統工芸職人後継者育成支援事業によってフォローアップしているとのことでした。結果として、この二つの制度合計で約四年間を支援することになります。 これらの育成制度は、現場の課題状況をよく理解した大変手厚い制度となっており、大変驚きました。補助の金額や対象業種の検討は必要でありますが、どんなに時代がかわっても継承していかなくてはならない技能の後継者をしっかりと育成するために有効な事業であると考えます。 技能五輪で醸成されると思われる技能継承の機運をしっかりとした継承システムで継続していくために、県として技能継承者育成支援を検討していくべきではないでしょうか。技能継承者の現状をどのように評価し、今後どのように対策支援を講じていくのか、商工労働観光部長に伺います。 以上で壇上からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(鈴木正法議員) 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 小松議員から本県における農業振興の基本的な考え方について御質問いただきましたのでお答えします。 本県では、高い競争力を持ち、豊かな地域をつくる農林水産業の展開のため、本年三月に新農林水産業元気再生戦略を策定したところであります。農林水産業を起点とする産出額三千億円のさらなる拡大や地域農業を牽引する競争力の高い経営体の育成、多様な担い手による農林水産業の活性化、そして六次産業化を中心とする食産業王国やまがたの実現に向けた取り組みを加速化することとしております。 こうした中で、本県の耕作面積の約六割を占める中山間地域は、平たん部に比べ、人口の減少や高齢化の進行、農地の利用条件を初め、さまざまな面で厳しい状況にあります。しかしながら、そこには農業を生活の糧とする心豊かな地域コミュニティーが存在しております。さらに、水田のダム機能による洪水防止や森林の保水機能による水源涵養、また、土壌侵食防止といった国土保全、良好な景観形成などの多面的な機能を有しており、その振興は極めて重要であると認識しております。 これまで本県では、中山間地域においても農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業を活用し、地元企業が農業法人を設立し、耕作放棄地を活用した大豆やソバ、野菜などの大規模生産に加えて、新たに薬用植物の栽培を行う取り組みや、新規参入者が地域の高齢者の農地を引き受け、農業生産法人として地域農業の重要な担い手となる取り組み、地域の女性が中心となり遊休農地を活用して雑穀を栽培し、雑穀料理や新たな商品開発を通した地域おこしなどを支援してきたところであります。さらに、中山間地域等直接支払などの国の制度を活用し、地元食材を生かした家庭料理やそばを提供する取り組みなど、地域の知恵や工夫を生かした元気な取り組みが幾つも見られるようになっておりまして、私も、現地で直接お話をうかがってきております。 山形の農業が元気になるためには、中山間地域の農業が元気でなくてはなりません。県として、今後とも中山間地域で暮らす方々が将来にわたって明るい展望を持ち続けられるような施策を展開していく必要がありますので、国に対しては、新たな直接支払制度の創設に当たっても、地域の実情に即した配慮をすべきことなどの提案・要望をしているところでございます。 今後とも、国・県の各種施策を総動員して、中山間地域を初め、本県農業の振興に向けしっかりと取り組み、日本の食を支える食料供給県としての地位を確固たるものとしてまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 深澤総務部長。 ◎総務部長(深澤良光君) 広報活動におけるSNSの活用についてお答えいたします。 県民の県政への理解を深めるため、県では、各種広報媒体を積極的に活用し、広報活動を展開しているところであります。そのような中で、インターネットを利用した即時的な通信メディアであるソーシャル・ネットワーク・サービスいわゆるSNSにつきましては、単なる一方通行の情報伝達にとどまらず、その情報の拡散性という点におきまして口コミと同様の効果が期待できます。 県では、ツイッターについては平成二十三年三月の東日本大震災の直後から、フェイスブックにつきましては昨年の五月から運用を開始しておりまして、これまで、震災・災害関連情報、雪おろし、インフルエンザ、熱中症などの注意喚起情報、各種補助金・助成制度、パブリックコメント、計画等の周知、各種イベントのお知らせ、観光情報など本県の魅力や県政情報を積極的に発信してまいりました。 今後につきましては、さらにそれぞれのコミュニケーションツールとしての特徴を生かしまして、日々更新を重ねたり、写真掲載をふやしたりするなど内容の魅力向上に努めまして、県民の皆様方へ県政情報をより効果的にお届けするとともに、県外も含めた山形ファンの拡大を図ってまいりたいと考えております。 一方で、こうしたSNSといいますものは、基本的に利用料が無料で、サービス提供事業者の利用規約に基づく使用となりますので、サービス内容の突然の変更や停止の可能性といったものが懸念されてもおります。 いずれにいたしましても、ICT、情報通信技術というものは日進月歩でありますので、今後とも、有効な広報手段のあり方について、必要に応じて見直しを行いながら、戦略的な広報に努めてまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 加藤危機管理監。 ◎危機管理監(加藤祐悦君) 災害時におけるSNSの活用についてお答えいたします。 災害関係の情報発信につきましては、災害発生前の注意喚起情報、避難勧告、避難指示や災害発生後の電力などライフラインを含めた被害情報や復旧情報、あるいは避難者や避難所の情報など、状況に応じてさまざまな情報を県民の皆様に迅速・確実に伝達する必要がございます。 そのため、本県では、各市町村の同報系防災行政無線や広報車などによる情報伝達、携帯電話への緊急速報メールの配信、マスコミ各社を通じた情報発信に加え、県ホームページやツイッター、フェイスブックなどのインターネットを活用した情報発信にも取り組んでおります。 このうち、ツイッター及びフェイスブックを活用した危機管理関係の情報発信といたしましては、これまで、北朝鮮によるミサイル発射情報や、昨年十二月に三陸沖で発生しました震度五弱の地震及びこれに伴う津波などの情報、また、冬期間の雪おろし注意喚起情報、さらに、空間放射線量測定結果や農作物を初めとする放射性物質検査結果などの情報発信を行ってきております。 今後、台風被害などの災害情報の発信にもSNSの活用範囲を拡大できないか検討を進めてまいります。また、ツイッターやフェイスブックなどのSNSを大規模災害時にどのように活用していけるか、国や他県での検討状況も参考にしながら研究してまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 長谷川商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(長谷川潔美君) 私には二点御質問をいただきました。 初めに、技能五輪・アビリンピック二〇一六の開催についてお答え申し上げます。 技能五輪・アビリンピック二〇一六につきましては、ことし三月十四日にやまがた技能五輪・アビリンピック二〇一六推進協議会を設立し、多くの企業、団体、学校等の御理解・御協力をいただきながら、平成二十八年度の開催に向けて準備を進めているところでございます。 まず、選手の発掘・育成強化につきましては、選手育成マネージャーと選手育成推進員を新たに配置したところでございまして、より多くの職種・種目に選手が参加していただけるよう、企業などを直接訪問し、働きかけております。あわせて、技能五輪・アビリンピック選手育成支援事業助成金の制度を創設し、選手を育成強化する企業や団体などを支援することとしております。こうした取り組みは、先催県と比較して遜色のないものと考えております。 次に、次代を担う子供たちにものづくりへの関心を持ってもらうため、小・中学生を対象としたポスター・作文コンクールや、技能五輪をわかりやすく解説した子供向けの小冊子の作成、大会期間中の技能五輪観戦・ものづくり体験ツアーなどを企画しております。 ほかにも、マスコットキャラクターとシンボルマークの募集、千日前イベントを初めとした大会までの節目節目に開催する県民参加型イベント、大会期間中の参加選手や大会関係者などに対するおもてなしのイベント、ボランティアや地域の方々との交流会など、さまざまなイベントなどを予定しております。 こうした取り組みを通して、県民を初め多くの方々に、全国トップレベルの卓越した技能や真摯に取り組む姿勢に身近に触れる機会を数多く提供いたしまして、ものづくりのすばらしさを実感いただける大会にしてまりいたいと考えてございます。 最後に、東北のものづくりの復興につきましては、今年度以降、東北各県から選手を招いて本県選手との合同練習会を実施するなど、東北の若い技能者が切磋琢磨する場を提供しながら、東北全体の技術の向上を目指してまいります。また、大会期間中は、東北各県から出展いただき東北の観光と物産展を開催するなど、震災から復興する元気な東北をこの山形から発信してまいりたいというふうに考えてございます。 次に、技能後継者の育成支援についてお答え申し上げます。 本県産業を支える人材につきましては、例えば、平成二十三年度の人口十万人当たりの技能検定合格者数が百六十五・二人でございまして東北でトップになるなど、全体としてすぐれた技術・技能を有しております。しかし、従業者が高齢化してきており、すぐれた技能の維持継承が課題となっております。 本県産業が持続的に発展するためには、熟練の技術・技能が継承されるシステムを構築し、技能が次世代に引き継がれていくことが重要であると考えております。県では、従来から、高校への熟練技能者の派遣、職業能力開発施設での訓練充実、ニーズに応じた在職者向けの研修の実施などに努めてまいりました。 今後は、技能五輪の本県での開催に向けて、より多くの職種・種目で若手技能者の育成強化を図り、すぐれた技能を継承してまいります。さらに、大会終了後は、大会参加者が小・中学校、高校で講演や実習を行ったり、企業、団体などで指導を行うなど、高い技術・技能を次代に引き継いでいく仕組みづくりについて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 若松農林水産部長。 ◎農林水産部長(若松正俊君) 私には四つの質問を頂戴しております。順次お答え申し上げたいというふうに思います。 まず、最上地域における農業生産基盤の整備促進についてでございます。 本県の農業振興に向けて、新農林水産業元気再生戦略、この中では、基盤整備を契機とする園芸作物の産地形成に向けた排水改良、担い手に農地集積を図る大区画化や用排水路の地下埋設、老朽化した農業水利施設の長寿命化等を推進することとしております。 まず、未整備地域についてでございますが、農作業の効率化を図る農地・農道の整備や安定的に用水を供給する水利施設等を地域の意向を十分踏まえ総合的に整備することを基本としております。特に、中山間地域に点在する小規模な農地につきましては、平成二十四年度に創設されました面積規模を要件としない国の補助事業、これを適用しながら対応することとしております。 また、最上地域では、急勾配な地形条件から工事費用がどうしても掛かり増しいたしますことから、地域の合意形成には時間を要することが多く、他地域と比べ圃場整備が総体的に進んでいないというふうな実情があります。このような状況の中で、議員からもありましたように、近年、最上地域において、基盤整備により収益性の高いニラ、ネギ、アスパラガスなど園芸作物の産地化が進んでおり、農家の営農意欲が高まってきていることなどから、本年度は、当管内で五地区の整備事業を実施しております。 県といたしましては、今後の事業推進に当たりまして、中山間地域に有利な補助制度を活用するとともに、地形条件に見合った適切な区画による大きさでの整備、そうした安価な手法を採用いたしまして、できるだけ農家の費用負担の抑制を図ってまいりたいというふうに考えております。 このような取り組みによりまして、最上地域の稲作の生産性向上と園芸作物の生産拡大に向けまして、地域の合意形成を後押しして、生産指導をしっかり行うとともに、基盤整備を積極的に推進してまいります。 次に、販路拡大に向けた市場動向の把握についてでございます。 県では、昨年、農業関係団体と連携いたしまして、山形県農林水産物流通情報利活用推進委員会を立ち上げました。昨今の流通環境の変化に即応した消費地情報・産地情報の双方向での有効活用を推進するため、情報収集・発信機能の強化を図ったところであります。 消費地情報としましては、東京、大阪両事務所職員やマッチング支援アドバイザーが市場動向を調査いたしまして、それを分析した市場レポートを農協などこちらの産地側に提供しております。また、産地情報といたしましては、例えば、消費地でも関心の高い、まさに旬のサクランボについてでございますけれども、ホームページ等を活用いたしまして、生育情報を早期の段階から迅速に提供するなどの取り組みを強化して進めてきております。 このほかにも、市場関係者の声を聞く取り組みといたしまして、県の普及担当職員が首都圏の市場視察を行ったり、百貨店バイヤーと直接意見交換を昨年から再開しているほか、全農山形と取引関係のある卸売関係者が設けております園芸研究会、こういった研究会への参加、首都圏での商談会や山形の農産物フェアの開催、産地に実需者を招く見学会、さらには農業団体が行う消費者との交流会の開催等を通しまして、消費者、実需者の声を直接お聞きして、消費地での売れ筋などの需要動向を把握するなど、多様な機会を活用いたしまして情報収集を行っているところであります。 また、今年度につきましては、県内の生産者や市場関係者を対象にしまして、首都圏等の流通関係者を招きまして消費者等のニーズについて学ぶマーケティングの研修会、こういったような企画を新たに計画しております。 今後も、市場が求めるものを的確に把握して、これを生産・流通・販売に反映できるよう、さまざまな取り組みをいろいろ進めてまいりたいというふうに考えております。 三つ目でございます。差別化による伝統野菜の普及拡大についてお答え申し上げます。 本県は、在来作物、これは数えますと約百六十品目を抱えるといった、まさに議員御指摘のとおり宝庫であります。とりわけ伝統野菜はこのうち約八十品目ほどありますが、生産量や規格、品質の統一性などの観点から、その多くは地元の直売所で販売されたり、あるいはレストラン、飲食店で利用されるというようなことにとどまっているのが現状であります。 一方、オカヒジキやだだちゃ豆、山形赤根ホウレンソウ等については、長年の積み重ねによりまして少しずつ認知度を高めてまいりまして、今では首都圏など県外に流通するまでに成長してきております。いずれの伝統野菜も、量産されている野菜と異なり、付加価値を持って差別化を図ることができる、山形ならではのもの、山形らしい本県を特徴づける特産物というふうに認識しております。 これまでも、総合支庁を中心に地域の伝統野菜のさまざまな普及啓発の取り組みを行ってきたところでありますが、今後は、全国展開にふさわしい品目については、全県的に足並みをそろえて対応していくことでその発信力を一層高めてまいりたいというふうに考えております。 具体的には、首都圏の市場・流通関係者や県内で伝統野菜の普及活動に携わっている方々、こういった方々にお願いしてやまがた伝統野菜推進委員会を立ち上げます。その中で、統一的な名称のあり方や生産から流通・販売までの仕組みづくり、さらにはプロモーションの方法など実践的な検討を行って、この秋から具体的に展開してまいりたいというふうに考えております。最近の傾向といたしまして、首都圏の有名百貨店において全国各地の伝統野菜のコーナーを設けて販売している例も出てきております。こうした例も参考にして、十分に検討してまいりたいというふうに考えております。 本県の多彩で地域色豊かな伝統野菜の普及とブランド化に向け、身近な流通、大きな流通、この両面から、関係者と連携しながら推進してまいります。 四つ目になりますが、農産物の機能性成分の活用についてお答え申し上げます。 本県においては、他産地との差別化を図るため、大学等との連携により、スイカやサクランボ、庄内柿などに含まれる機能性成分を分析し、県内企業が商品化する際の成分の濃縮度合いや安定化技術等について助言・指導を行ってきたところであります。 具体的には、スイカ果汁の濃縮による利尿作用や抗酸化作用を持つシトルリンを多く含みますスイカ糖の商品化や、サクランボ紅さやかの果肉でございますけれども、このアントシアニン色素を活用した麺類スープ商品など、県の開発技術が実用化された事例が幾つかあります。ほかにも、庄内柿を樹上脱渋した「柿しぐれ」においては、従来の脱渋方法よりも血圧降下作用を持つスコポレチンの含有量が多いことが明らかになっておりまして、実際の販売場面でも、口コミ等によりましてこれを活用しております。 これまでは、農産物の機能性成分の表示制度はなく、食品の分野においても手続が非常に煩雑でかつ多額の費用を要する、こういったような理由によりまして、県内での取り組みはありませんでした。今後、国において規制緩和に向けた議論が行われ、新たな制度が創設されることになれば、県内での具体的な取り組みや関連市場の拡大も予想されます。 県といたしましては、こうしたことを踏まえ、引き続き県内の大学等と連携してデータの蓄積を進めるとともに、専門家を初め生産者や流通関係者、消費者等の意見を幅広くおうかがいしながら、有望な品目の選定、その作付拡大、さらには流通販売上の新しいアピールポイントの活用などにつきまして具体的に検討してまいりたいというふうに考えております。 ○議長(鈴木正法議員) この場合、休憩いたします。 午後二時十分再開いたします。     午後二時一分 休憩     午後二時十分 開議 ○議長(鈴木正法議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 三十三番星川純一議員。 ◆33番(星川純一議員) 自由民主党の星川純一です。質問が多岐にわたりますので、早速質問に入りたいと思います。 まず初めに、個人住民税の徴収対策について総務部長にお伺いします。 先日開催されました山形県地方税徴収対策本部の会議において、個人住民税の徴収率向上を図るため、県と市町村の徴収職員がそれぞれの身分をあわせ持つ併任制度の導入を検討していくことを決められたと聞いております。 個人住民税は、地域社会の会費という税の基本的な性格を持ち、広く県民、市町村民がその所得に応じて負担する身近な税目であり、より一層の公平性が求められる税目であります。また、県税及び市町村税の三割強を占める基幹税目であり、その徴収対策は、県及び市町村にとって、自主財源を確保する上での非常に重要な課題となります。 本県における県税の徴収率は、平成二十三年度決算で九七%と全国でも高い水準にあるものの、個人県民税の収入未済額は十九億九千万円で、県税全体の収入未済額の七七%を、また、市町村における個人市町村民税の収入未済額は三十一億六千万円余りで、市町村税全体の収入未済額の二六・四%をそれぞれ占めております。これら個人住民税の収入未済額は、平成十九年度に国の所得税から地方の個人住民税への税源移譲が行われて以来増加傾向にあるとのことであり、個人住民税の徴収対策は、県と市町村の共通した課題であることから、その収入未済額を圧縮していくことは喫緊の課題であると考えます。 そこで、これまでの徴収対策の取り組みと成果はどうだったのか、また、現状を踏まえ、今後どのような取り組みを行っていくのか、総務部長にお伺いいたします。 次に、道州制に関する基本的な考え方について知事にお伺いします。 これまで何度か議論が沸騰したことがありましたが、最近では、平成二十四年八月に成立した「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に関して、国と地方のあり方についての議論が活発に行われるようになり、自民党は、昨年十二月の衆議院議員選挙の公約に、道州制基本法を早期に制定して、法制定後五年以内の道州制導入を目指すことを明記しました。 地方の時代と言われて既に相当の年月が過ぎておりますが、中央集権体制は維持され、東京一極集中が続き、地域間格差はますます拡大しているような感じもあります。領土問題、米軍基地問題、グローバル経済の進展や頻発する大規模災害への対応など、国が集中して取り組むべき課題が山積しており、国は、外交、安全保障、マクロ経済政策や真に全国的な視点に立った本来の中央政府としての機能に特化し、その強化を図っていくことが必要であります。 一方で、地域で判断できることはできるだけ地域に任せ、地方分権を一層徹底しなければならないという観点から、地方も地域経済の主体として経済的に自立できるようにするべきであり、そのためには、より広域でより力のある地方公共団体を創設する必要があるとして、与党は、道州制基本法案を近々国会に提案するように聞いております。 本県でも、国や県の意向にかかわらず、民間企業では、既に他県や海外に工場を移したり、本社機能を移転している企業も多数あると聞いており、このような現状は、本県だけでなく全国的な傾向であり、政治だけではなく経済界でも本社機能の一極集中が進んでいることは確かであります。 また、一方で少子高齢化も急激に進んでおります。戦後大きな経済発展を遂げた日本は、少子高齢化を初め社会構造の変化がかつてない速さで進んでいく中で、これから国も地方も極端な変化を示し、総務省の人口推計によれば、平成二十四年には全国で百万人の人口を切っている県が九つもあり、一方で、百万人の人口を超える政令指定都市が十一もできております。国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、二十七年後の二〇四〇年には、鳥取県や島根県では既に五十万人を切ると言われており、本県の人口も約八十四万人まで減少すると推計されております。 道州制については、まだまだ議論が必要なところでありますが、全国知事会の中でも、既にお隣の宮城県知事など八つの道府県の知事は道州制推進派と言われております。また、州の区域の設定については、現在の東北や関東といった一般的な地方区域にとらわれない議論もされているとも聞いております。 吉村知事は、災害応援協定の締結や高速交通網の整備などの重要政策課題の推進における隣県との協力連携体制の構築を重視されてきましたが、道州制についてはどのような考えを持っておられるのか、お伺いいたします。 次に、庄内と内陸の域内交流の拡大に向けた交通網の整備についてお伺いいたします。 庄内地域は、一方を海に、三方を急峻な山地に囲まれており、県都山形市を初め内陸地域との交流を深める上で地勢的に大きな制約を受けております。 このような中で、全国的に共通する課題ではありますが、特に庄内地域においては人口減少が顕著であり、国勢調査人口で平成七年と平成二十二年を比較して九・六%の減少となっております。これは、県全体の減少率の七%を上回り、県内四地域で最上地域に次ぐ高い減少率であります。 また、この三月に発表されました地域別将来推計人口を見ますと、庄内地域の人口は、平成五十二年には十九万三千人余りとなり、平成二十二年と比較して三四・一%も人口が減少すると予測されております。これも県全体の二八・五%を上回り、最上地域に次ぐ高い減少率となっております。 これは、県全体で考えなければならない課題であります。庄内地域の停滞は、同地域のみならず県全体の発展の足を引っ張っていると言っても過言ではないからであります。言いかえれば、庄内地域の活性化や発展なくして県全体の発展はないということでもあります。 そこで、庄内地域の活性化、ひいては県全体の活性化を図るために何をすべきかということですが、私は、まずもって庄内と内陸の域内交流の拡大を図ることが必要ではないかと考えます。 人口が減っても、これまで以上に人が動けば経済が動きます。庄内と内陸の交流人口が拡大することによって地域に新たな活力が生み出され、庄内地域の活性化はもちろんのこと、県全体の活性化が図られるのではないかと考えます。そして、庄内と内陸の域内交流の拡大を図るためには、両地域間を結ぶ鉄道や道路などの交通網の整備、交流人口を増加させる広域観光の推進など、庄内と内陸をこれまで以上に結びつける取り組みを推進することが必要不可欠であります。 このような庄内と内陸の域内交流の拡大に向け、特に重要と思われる交通網の整備について県としてどういうふうに取り組んでいかれるのか、企画振興部長にお伺いします。 次に、台湾チャーター便の就航促進についてお伺いいたします。 庄内は、かつて交通アクセスの悪さから陸の孤島とも言われておりました。そんな中、庄内地域の空の玄関口として平成三年十月に待望の庄内空港が開港いたしました。以来、利用者は順調に推移し、この五月四日には総利用者数が八百万人を突破いたしました。 新幹線及び高速道路が未整備な庄内地域にとって、庄内空港は欠くことのできない重要な交通手段であり、庄内地域の交流・物流の拠点として、地域の産業や文化の発展に大きな役割を果たしております。また、開港以来、計三百八十五便に上る国際チャーター便も就航しており、国外との交流の拠点としても重要な役割を担っております。 こういう中で、さきの二月定例会でも議論になりましたが、台湾の航空会社である復興航空がこの二月から自社の安全運航基準を強化し、日本の滑走路二千五百メートル未満の空港への運航は行わないと決定したため、二月から三月にかけて予定されていた山形空港発着の同社チャーター便が福島空港と仙台空港発着に変更を余儀なくされたことは、多くの台湾チャーター便が冬季間を中心に運航されている庄内空港にとっても大変ショッキングな出来事でありました。 平成二十四年の外国人旅行者県内受入実績調査の結果を見ますと、台湾からの旅行者は二万四百四十三人と全体の六割以上を占め、特に、雪が降らない台湾の旅行客にとって、冬季の山形へのツアーは人気が高く、毎年多くの旅行客が冬季の台湾チャーター便を利用して本県を訪れています。このように、台湾チャーター便は、国際定期便を持たない本県にとって、台湾との交流、特に台湾からの観光客を誘致する上で極めて有効な手段であり、本県観光や経済にとって大変重要であります。 このような台湾チャーター便の重要性に鑑み、復興航空社も含めた台湾チャーター便の本県空港への就航促進に向け県としてどのように取り組んでいくのか、企画振興部長にお伺いします。 次に、ASEANとの経済交流の展開についてであります。 山形県では、平成二十三年三月に山形県国際経済戦略を策定し、中国を初め香港、台湾、韓国、極東ロシアを主要対象国・地域として捉え、経済交流拡大に向けさまざまな施策を展開してきたところです。戦略策定以降、日中、日韓関係の悪化など世界の情勢が大きく変化してきていますが、ASEAN諸国の経済成長には目覚ましいものがあり、世界が注目しております。 過日、私もミャンマーに行き、企業視察を行ってきましたが、そこで出会ったミャンマーの人々の勤勉に仕事に励む姿、そして仏教への信心深さ、人に対する慎み深さなど、強く感銘を受けたところです。約六千二百万人の人口に支えられる豊富かつ勤勉な労働力が今後ともミャンマーの経済発展を支えていくものと実感したところであり、ミャンマーを含むASEAN諸国の日々の経済発展ぶりには目をみはるものがあります。 これまで県においては、姉妹県州を締結しているインドネシア・パプア州との技術・文化交流に力を入れてきましたが、これからは、経済発展に伴い富裕層が増加していることもあり、県産品の売り込みなど海外取引拡大の取り組みが重要となっていくと考えます。将来的には、ASEAN諸国やインドは、人口規模、経済発展の度合いを見ても非常に魅力のある地域であり、今のうちから連携のきずなを構築していく必要があります。 このような中、県では、今年度からシンガポールに職員を駐在させるなど、ASEAN諸国との経済交流拡大に向け相当に力を入れていくようですが、本県とASEAN諸国との取引拡大について今後どのように展開しようとしているのか、商工労働観光部長にお伺いいたします。 次に、海洋エネルギー資源の開発促進についてであります。 我が国は、四方を海に囲まれた海洋国家であり、その領海は世界でも有数の広さを持っております。 我が国の周辺海域には、以前から天然ガス資源の一種であるメタンハイドレートが大量に眠っているとして、これまで、愛知・三重県沖の東部南海トラフ海域をモデル海域にして調査が行われてきました。この三月に、世界で初めて海底からのメタンハイドレート試験生産に成功したことで、報道で大きく取り上げられましたが、エネルギー資源の大半を海外に依存している我が国にとっては、まさに未来への大きな希望になります。 また、このメタンハイドレートについては、近年の調査で、本県庄内沖を初め日本海側の広い海域での存在も確認されているとうかがっております。国では、今後三年程度で今年度から東部南海トラフ海域での生産実験、そして生産技術開発に並行して、日本海側での資源量調査を行うこととしており、去る六月八日から新潟県上越沖と石川県能登半島沖で調査を開始したとの発表がありました。 本県庄内沖では平成二十六年度に調査が予定されているとのことですが、将来的に商業生産されることになれば、我が国のエネルギーの安定供給のみならず、日本海沿岸地域の産業や経済の活性化にもつながるものとして、私としても大いに期待するところであります。 先月、海洋エネルギー資源開発促進日本海連合として、本県の吉村知事を含む日本海沿岸の十府県の知事が連名で日本海側の海洋エネルギー資源の開発促進について国に提案活動を行ったとのことですが、この連合組織の目的、実際の活動内容はどのようなものか、県としてどのような期待をしているのか、環境エネルギー部長にお伺いいたします。 次に、健康福祉部長にがん対策の現状と今後の推進方向についてお伺いします。 先月、私は、東京で開かれた「がん政策サミット」に参加しました。がん政策サミットは、よりよいがん対策に取り組もうという人々が全国から集まり、がんについて理解を深めようというものです。今回は、四十七都道府県のがん対策推進計画を読み込んでいくというプログラムなどがあり、その中で本県のがん検診の受診率が高いことが紹介され、私はとても誇らしく思いました。 本県のがん検診の受診率を見てみますと、胃がんが四七%、肺がんが三五・五%、大腸がんが三六・三%と全国第一位、子宮がん、乳がんについては全国第二位となっております。しかしながら、受診率が高いとはいってもまだ五〇%にも届いていない状況であり、さらなる検診率のアップを図っていくことが必要であると思います。 ことし三月に策定された県の健康やまがた安心プランによれば、計画策定の趣旨には、「健康であることは、すべての人の願いであり、県民一人ひとりの幸福な人生を実現するための基本です。」と記されてございます。まさにそのとおりであると、私も県民全てが健康であることを日々願っているところであります。 一方、重い病気、特にがんに苦しむ方々も大勢いらっしゃることも事実であり、平成二十二年の人口動態統計では、本県における死因の第一位ががんで、死亡者数は三千九百六人となっており、死因全体に占める割合は二七・七%と四分の一を超える状況です。また、人口十万人当たりの死亡者数は三百三十五・九人で年々増加し、今では昭和四十年代の二倍の水準になっており、全国でワースト八位という状況です。こうしたがんで苦しんでいる方々に質の高い医療を提供していくことは、本県の重要な責務であると考えます。 県においては、がん検診の受診率をさらに向上させるとともに、がんに苦しむ方々には質の高い医療を提供できるよう施策を講じていただきたいと考えますが、本県におけるがん対策の現状と今後の施策の推進方向について、健康福祉部長にお伺いします。 次に、ドクターヘリの運航状況について病院事業管理者にお願いいたします。 昨年十一月十五日にドクターヘリの運航を開始してから半年が経過しました。本県は山間部が多く、地域によっては救急車の到着に時間がかかっていましたが、ドクターヘリの就航で、県内のほぼ全域に三十分以内で駆けつけることができるようになりました。 ドクターヘリは、救急医療の専門医と看護師が搭乗し、速やかに救急現場で救命治療が開始されるとともに、救急医療機関への搬送時間が短縮されるなど、救命率の向上や後遺症の軽減といった効果が期待されております。運航開始から大きなトラブルもなく順調に運航しており、県民には、いざというときに医師が駆けつけてくれるという安心感が生まれたのではないかと思います。庄内地方、特に飛島の住民からは大きな期待が寄せられており、つい最近も飛島からのドクターヘリによる搬送があったと聞いております。 しかし、庄内への運航件数は、村山地域に比べて少ないようであります。運航開始が冬に向かう時期でしたから、冬期間の荒天のためほかの交通機関でも障害が発生する中で、県立中央病院を基地とする本県のドクターヘリが庄内に向かえない場合もあったと思いますが、庄内の住民の中には、いざというとき自分のところにドクターヘリは来てもらえるのだろうかと不安を感じている人もいると思います。 ドクターヘリは、県民の命を守るために大きな役割を果たすものと期待されており、今後一層の活用が望まれます。そのためには、地域医療機関との連携や隣県との協力体制の構築などの運航体制の強化が重要であると考えますが、これまでのドクターヘリの運航状況やこれらを踏まえた今後の運航体制の充実強化に向けた取り組みについて、病院事業管理者にお伺いします。 次に、郷土の偉人を学ぶ教育について教育長にお伺いいたします。 初代鉄道の助、次官ですね、として直接の工事責任者の命を受け、明治五年に日本で初めて東京新橋から横浜までの鉄道敷設を行った佐藤政養は、本県遊佐町の出身です。その功績をたたえ、遊佐町の吹浦駅に建てられた銅像の前で、毎年神事が行われております。また、庄内の砂丘地からの飛び砂の害に苦しんでいた人たちを救うために植林を行った佐藤藤左衛門・藤蔵親子の偉業をたたえ、西遊佐小学校では、神事に加え児童の発表会なども行われています。 遊佐町教育委員会作成の小学校三、四年の社会科副読本の中に、地域の発展に尽くした人々として佐藤政養、佐藤藤左衛門・藤蔵親子のことは扱われているようですが、残念ながら、地域の人や子供たち、そして先生方に聞いても、これらの偉人について余りよく知られていないようであります。 本県には、私の近くに本間光丘、あるいは米沢の上杉鷹山、あるいは安達峰一郎など数多くの偉人がおりますが、その地域の子供たちはどれだけのことを知っているのでしょうか。何をしたかという偉業だけでなく、その人の生き方も含めて深く学ぶことが大切だと思います。全国的に使われる教科書には、各地域の偉人まで載せることは困難であると思いますので、各地域で、それぞれの地域で郷土の偉人の副読本を作成するなど、そういうことから始めてみてはどうでしょうか。 地域に密着する小・中学校の学習の場において郷土の偉人を学ぶことが、子供たちにとっても、郷土への自信と誇り、郷土を愛する心の醸成につながり、郷土の発展に貢献できる人材を育成することになると思いますが、本県における学校教育について、郷土の偉人などの歴史的人物の副読本などを作成してみてはどうかと思いますので、教育長にお伺いいたします。 次に、警察本部長にお伺いいたします。 山形県においては、刑法犯認知件数が昨年五千九百九十二件と戦後最少を記録し、犯罪被害で命を落とす方の数も減少傾向にあるほか、交通事故も七千八十四件と七年連続で減少し、交通事故後二十四時間の死者数も戦後二番目に少ない三十七人にまで減少したとのことであります。 他方において、県内でも、昨年三月、東根市で生後二カ月の長男を暴行し死亡させた母親が、ことし二月に有罪判決を受けております。行方不明・居どころ不明になっている幼児・児童が虐待の犠牲になっていないか懸念されるところでもあります。全国でも、健康診断や入学式にあらわれず行政機関でも行方を把握できない小・中学生の数が一千人近くに上り、就学前の乳幼児では、行方不明者の数すらわからないとの報道もありました。 また、昨年は全国で十五年ぶりに自殺者の数が三万人を下回りましたが、本県では、前年比で三人ふえ二百九十一人であったと言われております。自殺対策は、政府と本県知事部局でも取り組んでいるところでありますが、警察が自殺企図者を発見し、自殺を思いとどまらせた例もあるとうかがっております。 さらに、山岳遭難者や、老人が行方不明になって警察が捜索しているという報道に接することがたびたびあります。厳冬期には、これら遭難者、行方不明者が発見されないままであれば、一晩で凍死してしまう危険もあります。実際に警察が行方不明者を捜し死亡した状態で発見された遭難者、行方不明者もいらっしゃると聞いております。 県民の命の保護を任務とする警察では、犯罪や交通事故で県民が命を落とさないようさまざまな努力を重ねていると理解していますが、行方不明・居どころ不明の幼児・児童、自殺企図者、遭難者、行方不明者の発見、安否確認のため具体的にどのような活動を行い、どのような成果を上げているのか、警察本部長にお伺いします。 以上で壇上からの質問を終わります。 ○議長(鈴木正法議員) 吉村知事。 ◎知事(吉村美栄子君) 道州制に関する基本的な考え方について御質問いただきましたのでお答えいたします。 道州制につきましては、政府・与党で関連法案提出の動きがある一方で、その導入には慎重論も出ていることを承知しております。 私は、道州制につきましては、そもそも住民が幸せになれるのかという視点が大変大事だし、国民的な議論になっていないのではないかというふうに考えております。さらに、東日本大震災から二年三カ月が経過いたしましたが、東北地方の復興はまだまだ道半ばでございます。そのような中、現段階で道州制を導入するのはいかがなものかと考えております。本県は東北の一員でありまして、支え合い、助け合ってしっかりと復興に取り組んでいくことが大切だと考えております。 また、道州制により住民自治から遠くなることは問題ないのかという視点も重要だと思っております。現に、住民に一番近い全国町村会も反対しているところであります。住民にとって幸せを感じられる自治体の規模として道州制が適切なのか、また、道州制の導入が住民にどのような影響を与えるのか、国民的な議論をしっかりとしなければならないのではないかというふうに考えております。 道州制という形を前提にするのではなく、住民自治を基本に、そこに暮らしてよかったと住民一人一人が真の豊かさを実感できるように、国と地方がそれぞれ担うべき役割は何なのか、また、道州制の前に、まず市町村合併により何が変わり、住民が幸せになったのかという検証や、現在既に道として機能している北海道がありますけれども、その現状などの検証、さらには税財源のあり方をどうするのかも明確化する必要があると考えております。そして、何よりも、国民的な十分な議論と理解を前提に、予断を持たず幅広く検討することが大切だと考えております。 道州制につきましては、四月に開催された全国知事会でも、各県知事から国民の議論と理解が前提であるとの意見が出され、また、知事同士の議論を深め、七月の全国知事会議において意見を集約する予定となっております。その中で、私も住民の幸せという観点から、引き続きこれらのことをしっかりと主張してまいりたいと考えているところです。 ○議長(鈴木正法議員) 新澤病院事業管理者。 ◎病院事業管理者(新澤陽英君) ドクターヘリの運航状況と充実強化に向けた取り組みについてお答え申し上げます。 ドクターヘリの運航状況につきましては、運航開始から五月末まで、出動要請二百一件に対し出動百五十八件、未出動四十三件で、未出動の主な理由は、天候不良十九件、重複要請八件等となっております。一日平均出動件数は、三月までの〇・七件に対し、四月以降は天候不良による未出動がなかったことなどにより一・一件となっており、当初の見込み〇・八件を上回って推移しております。 庄内地域につきましては、出動要請二十二件中、出動十一件、未出動十一件で、未出動の主な理由は、冬期間の天候不良七件、重複要請一件等となっております。 これまでの運航状況から、議員御指摘のとおり、冬期間の悪天候による未出動に加え、重複要請による未出動も県全体の共通課題と認識しております。また、患者の搬送先につきましては、先行県の例から、基地病院である中央病院への搬送は全体の五割以下を想定しておりましたが、これまでの搬送者は六割を超えております。 一点目の課題の天候不良や重複要請等に対応するためには、隣県ドクターヘリとの相互応援体制の構築が重要であることから、この三月に福島県と連携協定を締結し、既に本県から二件出動しております。今後は、新潟県及び秋田県との早期の協定締結に向け、関係部局と連携し調整を進めてまいります。 また、二点目の課題の地域の拠点病院における搬送患者の円滑な受け入れ態勢の確保につきましては、四地域ごとの症例検討会を通じ、個別事案の検討を行うことで、基地病院と医療機関や消防機関等との連携強化に取り組んでおります。 さらに、これらの取り組みに加え、現在、搬送患者の追跡調査を実施しており、調査結果に基づき医学的見地から評価検証を行い、ドクターヘリの効果的運用を進めるなど、運航体制の一層の充実強化を図ってまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 深澤総務部長。 ◎総務部長(深澤良光君) 個人住民税の徴収対策についてお答えをします。 個人住民税は、市町村が県民税と市町村民税とを合わせて賦課徴収する制度であることから、その徴収対策については、県と市町村との連携した取り組みが重要であると考えております。このことから、平成十九年度に山形県地方税徴収対策本部を設置し、県内七地区の個人住民税徴収対策協議会とも連携しながら、徴収職員のスキルアップのため、外部講師を招いた滞納整理に関する研修会の開催を初め、県と市町村との共同催告、共同徴収など市町村に対する各種の支援策を講じております。 この結果、個人県民税に関して、滞納残高である収入未済額は、平成二十四年度の県税決算において、前年度から一億七千百万円減の十八億一千九百万円になる見込みであり、十四年ぶりに前年度を下回ることとなります。 また、平成二十三年度の個人県民税の現年度課税分の徴収率は九八・四%で、全国五位の高い水準になっております。このさらなる向上を図るために、給与所得者に対するいわゆる給与引き去りであります特別徴収を平成二十六年度までに県内全市町村において完全実施するアクションプランを昨年度に策定し、特別徴収実施率全国一位を目指して、市町村と連携しながら鋭意取り組んでおります。 一方、滞納繰越分の徴収率は低迷しておりまして、この向上が大きな課題になっております。このようなことから、今年度は、県職員が市町村職員の身分もあわせ持つことにより共同で捜索や差し押さえなどの徴収業務に対応できる併任制度のあり方について、他県の状況なども参考にしながら、幅広く検討することとしたところでございます。 今後とも、県と市町村の連携強化を図りながら、さまざまな対策を講じ、徴収率の向上を図り、収入未済額の圧縮に努めてまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 廣瀬企画振興部長。 ◎企画振興部長(廣瀬渉君) 私には二点御質問いただきましたので、順次お答え申し上げます。 初めに、庄内と内陸の域内交流の拡大に向けた交通網の整備についてでございます。 御承知のとおり、本県は、特色のある歴史性、文化性を持った四つの地域から構成されておりますが、それぞれの地域の魅力や活力を高めていくことに加え、それらが互いに連携・交流し、全体として発展していくことが大変重要であると認識しております。 ただいま議員から、人口減少が進む中で、庄内地域の活性化、ひいては県全体の活性化を図るためには、庄内と内陸の域内交流の拡大を図ることが必要であり、そのためには特に交通網の整備が重要との御指摘をいただきました。 庄内と内陸を結ぶ交通網といたしましては、道路交通と鉄道輸送が大きな柱となります。道路に関しましては、東北横断自動車道酒田線月山インターチェンジから湯殿山インターチェンジ間の事業化に向けた検討、そして地域高規格道路新庄酒田道路の早期整備につきまして、国へ施策提案をしているところであります。 一方、鉄道につきましては、かなめとなる陸羽西線の安全・安定輸送確保や利便性向上等についてJR東日本等へ働きかけを行っているところであります。また、今年度において、県内地域交通について、今後の基本的な方向や維持改善方策を整理するために実態調査を実施することとしておりますが、その中で、陸羽西線を中心とした庄内と内陸の交流の実態についても把握してまいりたいと考えております。 県といたしましては、現在整備が進められている地域高規格道路の事業の進展や、庄内と内陸を結ぶ鉄道、道路、高速バス等それぞれの交通機関の適切な機能分担を踏まえ、庄内と内陸のさらなる交流促進に向けた取り組みを引き続き進めてまいります。 次に、台湾チャーター便の就航促進についてお答え申し上げます。 県内空港への台湾チャーター便につきましては、これまで冬季を中心に多数運航されており、本県の観光振興及び経済活性化に大きな役割を果たしてまいりました。 県におきましては、本県への外国人観光客の多数を占める台湾は海外からの観光誘客の重点市場と考えておりまして、市町村や民間事業者とも連携しつつ、台湾での旅行博への出展や商談会の開催などにより本県観光を積極的にPRしているほか、航空会社及び旅行会社に対する助成メニューを用意して、チャーター便運航の働きかけを行っているところであります。 議員の御質問にありました復興航空における安全運航基準の強化に関しましては、ことしの三月と五月の二回にわたりまして、航空及び空港管理の担当職員が台北の本社を訪問いたしまして、県内空港の過去の気象状況や定期便、チャーター便の運航実績を示しながら基準見直しを働きかけておりますが、現時点では見直しはなされていない状況にあります。 一方で、五月に行った際は、台湾の他の航空会社も訪問しておりますが、いずれの航空会社も復興航空のような基準は設けていないということを確認しております。加えまして、それら航空会社に対して台湾の旅行会社から秋の紅葉シーズンにおける県内空港へのチャーター便の申請が出ている旨のお話もうかがっております。 ことしに入りまして、まだ県内空港には台湾チャーター便は就航しておりませんが、引き続き、県の関係部局及び関係者が連携し、本県観光のPR及び航空会社、旅行会社への働きかけをより一層積極的に展開していくことで、秋以降の台湾チャーター便の就航促進を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 森谷環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(森谷俊雄君) 海洋エネルギー資源の開発促進についてお答えいたします。 海洋エネルギー資源は、国産のエネルギー資源として注目されており、特に、次世代のエネルギーとして期待が高まっているメタンハイドレートは、日本海側にも幅広く賦存している可能性があるというふうにされております。このため、我が国のエネルギーの安定供給や日本海側沿岸地域の産業・経済の活性化、さらにはエネルギーインフラの多角化による国土強靭化、これらの観点から、昨年九月に、日本海沿岸の十府県が参画いたしまして海洋エネルギー資源開発促進日本海連合を設立し、これまで国に対して、日本海側での開発の取り組みの促進などについて連携して働きかけてまいったところでございます。 こうした活動を受けまして、国におきましては、ことし四月に閣議決定されました海洋基本計画の中で、今後三年間程度で日本海側でのメタンハイドレートの資源量調査に取り組むことを決定したところでございます。具体的な調査実施場所につきましては、平成二十五年度、本年度は、佐渡・上越沖、さらには能登半島沖、そして二十六年度、二十七年度は、山形沖、秋田沖、そして島根県隠岐島周辺、平成二十七年度は北海道周辺で調査が予定されております。 日本海側での調査は緒についたばかりでございまして、当連合では、先月、国に対しまして、来年度予算における調査費の拡充や採掘技術の開発促進、日本海側でのエネルギー供給基地やパイプラインの整備推進などについて提案したところでございます。 国の成長戦略におきましては、海洋産出試験の結果などを踏まえまして、平成三十年度をめどに商業化の実現に向けた技術の整備を行うというふうにされております。本県といたしましては、まずは庄内沖での資源量調査が着実に実施され、将来の商業化に向けた取り組みが進展するよう今後とも働きかけてまいりたいというふうに考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 大泉健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(大泉享子君) がん対策の現状と今後の推進方向についてお答えいたします。 本県におきましては、大腸がん、子宮頸がん、乳がんについて市町村が無料クーポン等を配布するがん検診推進事業の活用や、がん対策の推進に関する協定に基づいて企業が行うがん検診の受診勧奨等によりまして、がん検診の受診率の向上を図ってきたところでございます。また、都道府県がん診療連携拠点病院や地域がん診療連携拠点病院、山形県がん診療連携指定病院の活動への助成を行うなど、がん医療の向上も図ってきたところでございます。 しかしながら、議員御指摘のとおり、がん検診の受診率は全国でも上位であるものの、五〇%には届かない状況であること、また、がんによる十万人当たりの死亡率は全国的に見ても高い状況にあります。 このようなことから、今後は、健康やまがた安心プランのがん対策の基本的な方向として掲げている「がん患者を含めた県民が、がんを知り、がんと向き合い、がんになっても安心して暮らせる社会の実現」に向けて、がんの予防、早期発見、医療の提供、がん患者とその家族への相談支援等の施策を総合的に推進します。 具体的には、今年度の新規事業として、検診機関やスーパーとタイアップした大腸がん検診キットの販売や、がん患者の就労支援のための連絡会議の設置などを行うこととしております。また、外来における化学療法の充実、多職種で医療に当たるチーム医療の推進、さらには切れ目ない緩和ケアを提供できる体制の充実などを図ることとしております。 こうした施策の推進により、がん検診の受診率のさらなる向上とがんによる死亡者数の減少を図るとともに、全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上を図り、がんになっても安心して暮らせる社会の構築を目指してまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 長谷川商工労働観光部長。 ◎商工労働観光部長(長谷川潔美君) ASEANとの経済交流の展開につきましてお答え申し上げます。 ASEAN諸国は、人口が多く、高い経済成長が続いておりますことから、アジアの中でも、中国、インドとともに世界の消費市場として注目を集めております。県といたしましても、このような発展著しいASEAN諸国の成長を本県経済に取り込むため、本年度から、各国の特性に応じた取引拡大の取り組みを強力に展開することとしております。 まず、日本食の人気が高いタイにおいては、現地バイヤーなどをターゲットにした国際食品見本市への出展や現地商談会の開催により、加工食品や牛肉など県産品の販路拡大を進めてまいります。また、富裕層の多いシンガポールでは、日系百貨店における食品フェアへの出展により県産品の知名度向上を図ってまいります。さらに、イスラム文化圏であるマレーシアやインドネシアでは、特有の商習慣やニーズ調査などを行うことによりまして、販路拡大の基盤づくりを行ってまいります。 これらの取り組みに加え、さらなる取引拡大を図るため、ASEAN諸国のビジネスの拠点でありますシンガポールに七月から職員を配置し、海外との取引を行う際に最も重要とされる政府機関や現地企業などとの人脈の構築と、山形の商品を取り扱っていただけるような商社やバイヤーなど信頼できるパートナーづくりを行ってまいります。さらに、これらの人脈等を活用しながら、現地の生きた情報を収集し、県内企業等に発信していくとともに、各種相談への対応や求められる人材の紹介など、県内企業等の多様なニーズに応えられるよう支援を行ってまいります。 国においては、今月十四日に閣議決定されました日本再興戦略の柱の一つであります国際展開戦略において、ASEAN諸国等への輸出額等を二〇二〇年までに二〇一一年度比二倍を目指すこととし、海外市場獲得のために戦略的に取り組むこととしておりますので、このような国の動向もにらみながら、経済成長著しいASEAN諸国との経済交流拡大を積極的に進めてまいります。 ○議長(鈴木正法議員) 菅野教育長。 ◎教育長(菅野滋君) 郷土の偉人を学ぶ教育についてという御質問でございます。 郷土の偉人を学ぶ教育につきましては、社会の発展等に尽くした人物を理解し、大切にする態度を育んでいくということを基本にして取り組んでいるところでございます。小学校では、新田開発や植林など身近な地域の発展に尽くした人物を、中学校では、国内外で活躍した本県ゆかりの人物を取り上げております。具体的には、中学校の歴史学習の副読本では、御紹介のありました上杉鷹山、本間光丘、安達峰一郎を初め、最上義光や三島通庸などの人物について学んでいるところであります。 また、県教育委員会では、ことしの三月、いのちの教育の一環として道徳の副読本を新たに発行したところでありますが、その中では、無医村の医療に生涯をささげた西川町の志田周子医師や、日本海軍駆逐艦「雷」で、漂流しているイギリス兵の救助に当たった高畠町の工藤俊作艦長などの話を取り上げております。その学習を進めるに当たっては、人物の業績に加えて、失敗や困難、葛藤を乗り越えていく人間の生き方を学ぶことが重要であるという視点に立って、教員の研修にも努めているところであります。 少子高齢化とともに人口減少が進む中で、地域に誇りを持って生き生きと生活していく子供たちを育てるには、まずは郷土愛を培っていくということが必要であると考えております。そういった中で、郷土の偉人の業績や生き方が産業の発展や現在の私たちの生活とどのようにかかわっているのか、幅広い視点から学んでいくことができるよう、指導方法や教材の開発について研究を進めてまいります。 現在、第六次山形県教育振興計画の検討を始めているところでございます。その中においても、郷土愛を醸成するという視点で、郷土の偉人の学習のあり方について、さらに議論を深めてまいりたいと考えております。 ○議長(鈴木正法議員) 世取山警察本部長。 ◎警察本部長(世取山茂君) 行方不明者の所在・安否確認についてお答え申し上げます。 個人の生命、身体、財産を保護することは、犯罪の予防、鎮圧、捜査、交通の取り締まりと並んで警察の責務でございます。したがいまして、警察では、行方不明者が犯罪や事故に巻き込まれた可能性がある場合はもとより、行方不明者の生命を保護するため、通信指令システムを初めあらゆる警察のシステムやデータベースを駆使して部内で情報を共有するとともに、状況に応じて警察犬やヘリコプターを含む装備資器材を活用し、また、山岳遭難救助隊や消防団などのボランティアの方々、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、タクシーなど幅広く御協力をお願いいたしまして、行方不明者の一刻も早い所在・安否確認に努めているところでございます。 特に、犯罪や事故に遭った可能性が高い方や自殺企図者といった、こういった方を特異行方不明者とお呼びしておりますけれども、発見がおくれれば直ちに生命の安全が脅かされる可能性があるため、最優先で発見に努めております。特異行方不明者届を昨年受理した四百二十三名のうち、本年五月末までに四百十二名を発見しております。その内訳を申し上げますと、主な内訳ですが、警察が無事発見した方が百九十八名、自力で帰宅された方が百四十七名、御遺体で発見された方が四十二名などでございました。なお、警察が無事発見した百九十八名のうち自殺企図者は五十一名で、これらの方の自殺を防ぐことができました。 なお、幼児・児童は犯罪や事故に巻き込まれていても警察や周囲にSOSを発信することができず、屋外で所在不明になれば気候によっては凍死も懸念されるところでございます。したがいまして、警察では、幼児・児童が帰宅しないとの通報・相談をお受けした場合の発見・保護はもとよりでございますけれども、例えば小学校に入学してこない学齢期の児童あるいは健康診断を受診しない幼児について、関係機関に能動的に働きかけて関係情報を収集の上、安否を確認しているところでございます。その結果、昨年は四名、本年は五月末までに三名の幼児・児童の無事を確認するとともに、虐待が懸念されるケースについて、本年は、五月末までに昨年同期を三十六件上回る四十一件を児童相談所に通告したところでございます。 今後とも、必要なシステム等の整備に努め、県民の生命保護に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(鈴木正法議員) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。 質疑及び質問を終結いたします。 △議第百五号議案及び議第百六号議案の採決 ○議長(鈴木正法議員) この場合、お諮りいたします。ただいま議題となっております案件中、議第百五号山形県公安委員会委員の任命について及び議第百六号山形県人事委員会委員の選任についての二案件については、事件の性質上所定の手続を省略、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木正法議員) 御異議なしと認めます。よって、所定の手続を省略、直ちに採決することに決定いたしました。 これより採決に入ります。 まず、議第百五号山形県公安委員会委員の任命についてを採決いたします。 お諮りいたします。議第百五号については、これに同意することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木正法議員) 御異議なしと認めます。よって、議第百五号はこれに同意することに決定いたしました。 次に、議第百六号山形県人事委員会委員の選任についてを採決いたします。 お諮りいたします。議第百六号については、これに同意することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(鈴木正法議員) 御異議なしと認めます。よって、議第百六号はこれに同意することに決定いたしました。 △議第八十四号議案から議第百四号議案まで及び議第百七号議案について(関係常任委員会付託) ○議長(鈴木正法議員) この場合、ただいま議題となっております議第八十四号から議第百四号まで及び議第百七号の二十二案件は、それぞれ所管の委員会に付託いたします。〔参照〕 △(イメージ)常任委員会付託表 △日程第二十六請願 ○議長(鈴木正法議員) 次に、日程第二十六請願を議題に供します。 本件についても、願意の内容審査のため所管の委員会に付託いたします。 ○議長(鈴木正法議員) なお、所管の委員会における審査に先立ち予算特別委員会を開催し、県予算の総合的な審査並びに県財政及び県政課題についての調査審議を行います。 ○議長(鈴木正法議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明二十一日から七月二日までの十二日間は議案調査、休日、委員会審査及び協議調整のため休会とし、七月三日定刻本会議を開き、各常任委員長より審査の経過と結果について報告を求めます。 本日はこれをもって散会いたします。     午後三時十五分 散会...